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フェレットの血液検査

こんにちは

今回blogを担当するのはエキゾチックアニマル大好き小田です。
とはいえ新人として目下勉強中ですので、
今日は検査の基本である血液検査(特に生化学検査)のことを、フェレットについて書きたいと思います。
検査項目は基本的に犬や猫と同様です。
肝臓の指標として、GPT,GOT,ALP,T-Bill
腎臓の指標として、BUN,Cre,IPCa,K
脾臓の指標として、Amy,Glu
があります。
まず、
GPT 
これは肝細胞に含まれる酵素で、肝炎や何かしら肝臓に負担がかかるとあがってきます。
肝臓は体内に取り入れた食べ物、薬物などを代謝する働きがあるのですが、
フェレットは高タンパクの食事を必要とするので、この活性が高く、他の動物より高い値が出やすくなります。
低血糖状態(インスリノーマや食欲不振)、またステロイドの投与で高い値がでることもあります。
GOT
これは他の動物と同じく、心筋や骨格筋など肝臓以外の細胞にも存在します。
従って、この数値単独では肝臓の指標とはなりません。
ALP
全身のさまざな細胞膜上に存在しますが、多くは肝臓、骨由来です。
上記の2項目が上昇していないのに、この数値が上昇している場合は胆汁うっ滞の可能性もあります。
T-Bill
これは、赤血球の組成の一部であるヘムが分解されてできます。
通常は血中、尿中にでてくることはありません。
フェレットでは閾値が高い可能性があるといわれています。
肝臓のリンパ腫などでまれにみられます。
次に
BUN
血中尿素窒素といい、腎臓の糸球体(血液を濾過し、原尿を作ります)で一度排泄されますが、尿細管で25〜40%は再吸収されます。
食事中タンパク質、肝、腸の状態により影響を受けます。
クレアチニンよりも感受性が高いようです。
Cre
BUNと同様、糸球体から排泄されます。
フェレットは尿細管分泌や大腸分解という機能があり、犬や猫に比べ低い値となります。
したがって、この数値では腎臓疾患を正確に判断できない、という研究者もいます。
IP
糸球体から濾過され、尿細管から再吸収されます。
腎不全以外にも、ビタミンD過剰症、軟部組織損傷、脱水、溶血でも数値は上昇します。
糸球体での血液の濾過率が20%以下になっても上昇します。
Ca
IPとは逆比例の関係にあります。
急性腎不全時には低い数値となり、慢性腎不全時には進行状態により低い値や高い値がでます。
K
尿を作る際、Naの再吸収と交換で排泄されます。
多尿時には低い値を示し、急性あるいは慢性腎不全時には高い値を示すことが多いです。
最後に
Amy
膵臓から排出される消化酵素で、腎臓から排泄されます。
膵臓疾患、腎疾患、ステロイド投与でも高い値を示します。
犬の分布を近いようです。
Glu
インスリノーマ、肝不全、飢餓、敗血症、腫瘍などで低い値を示します。
食事時間によって日内変動があるが、フェレットは絶食を行っても比較的高い値を示します。
空腹時の血糖値が20〜40mg/dlまでなると、痙攣発作や昏睡状態となることもあります。
今回は実際の診察で使うようなことを、マニアックなことでもいいので書いてほしいとの指令だったのですが・・・
私の技術ではまだまだ難しいようです!
あと、病院が新しくなりました!!!
前病院より東へ20m(?)ほど行った場所ですので、迷われることはないかと思います。
診察室が増え、トリミング室は六甲山を眺める部屋、リハビリ用に水中トレッドミルの機械が導入され、入院の方には面会室も用意されています☆
今までと違う環境でまだスタッフも試行錯誤、てんやわんやとしていますが、新しい建物はやっぱり気持ちいいです。
と、いうことで新しい病院とともに私も精進しますので、どうぞよろしくお願いします!!!
                             参考 エキゾチックアニマル診療 vol1