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シニア科

シニア科

当院ではシニアのワンちゃんに向けた取組みとして、シニア動物全般に向けた獣医療をご提供するシニア科を開設しています。

当院のシニアのワンちゃん・ネコちゃんへの取組の一部をご紹介します。

シニア生活のサポート面

生活スタイルのご相談

シニア期になると、お家での過ごし方やお散歩の仕方、病気との付き合い方などで、若い頃と様々な変化が出て来ます。特に高齢期になると痴呆や介護の問題が出てくることもあります。飼主様と動物の楽しい暮らしの為に様々なご相談をお受けしています。

食事管理のご相談

食事は健康管理の基本です。高齢になるとご飯を食べない、量が減ったなどのご相談をよくお受けします。また、持病がある場合は療法食などの食事療法も必要となります。毎日のことである食事についてもご相談をお受けしています。

認知症のご相談

最近はワンちゃんの認知症が急増しています。認知症が進行すると、ワンちゃんの心身の負担が増え、生活の質が下がります。また、飼主様のご負担も増え、ワンちゃんとの生活が辛いものになってしまうケースも少なくありません。認知症の症状には一見して認知症によるものとわかりづらいものも多いため、飼主様が気づかない間に認知症が進行してしまうというケースも多いのです。獣医療の世界でも、現在はお薬やサプリメントなどで認知症の進行を遅らせたり、症状を緩和することができます。

一時預かり(デイケア)

シニア期になると持病があったり、痴呆が始まったりなどで、ワンちゃん・ネコちゃんだけでお家で過ごすことが難しくなることもあります。一方で飼主様自身が一定時間、家を空けなければいけないこともあるかと思います。そういった場合に安心してお出かけいただけるように、当院で一時預かりも行っております。

当院の一時預かりについて

  • 一時間単位でお預かりいたします。
  • お預かり時には獣医師による事前診察を行います。
  • 動物の病状や状態に応じてのお預かり環境をご用意しております。(ICU利用、痴呆対応など)
  • 投薬や食事など獣医療スタッフによるケアを行います。

お預かり条件について

  • 当院の患者様であること(カルテがあること)
  • ノミ・ダニ予防を行っていること
  • ワクチン接種を行っていること(※動物の状況によって異なります。獣医師とご相談ください)

関節のご相談

人と同じようにシニア期になると 骨関節炎や筋力の低下及びじん帯が弱くなることにより、足をかばいながら歩く状態(跛行)が見られるようになります。その為歩くのを嫌がるようになってしまいます。

この症状に関して鎮痛剤やサプリメント等での治療についてご相談させていただきます。

また、専門的な診察をご希望の場合は、整形外科担当医による専門的な診療も受診いただけます。

口腔ケアのご相談

加齢に伴い、歯石が付着してきます。免疫力が低下することも加わって、歯周病など口腔内に関するトラブルも増えてきます。歯周病の進行は口腔内だけでなく全身に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。口臭が気になるなどのお悩みに関して当院では口腔ケアのご相談をさせていただきます。

シニアの病気や治療でのサポート面

シニアの動物に優しい診療

高齢になると様々な病気の可能性が高まります。できる限りご来院時にストレスがかからないように、動物の負担を考慮した診療を行っております。

病気の早期発見のための定期検診

高齢になるにつれ様々な病気を発症するリスクが高まります。心臓や内臓疾患など慢性化する前に早期治療が重要な病気も多くあります。病気の早期発見のためには定期的に健康診断を行うことが重要です。早期発見、早期治療を目指しましょう。

負担の少ない検査

高齢になるとちょっとしたことがストレスに繋がり、動物への負担となるケースがあります。当院ではできる限り検査においても動物へ負担が少なくできる機器や方法を用いて行っております。

負担の少ない治療

高齢になると体力や免疫が低下するため、若い頃の治療法と方針を変えてあげることも必要です。動物の状態や飼主様のご要望に応じ、負担の少ない治療法含め、複数の治療法をご提示させていただいております。

負担の少ない手術

手術時にはできる限り動物への負担の少ない方法を取り入れています。
麻酔時間の短縮や、体内に糸を残さない方式、手術時間が短くなる方法など、動物への負担軽減を常に考えております。

セカンドオピニオン

他院様にかかられている飼主様で、今後の治療方針や新しい治療法を探されている場合などに、セカンドオピニオンをお受けしております。「どういった病気か?」「なぜ今の治療で症状が良くならないか?」「他にできる治療法はないか?」など、今抱えておられるご不安を当院の獣医師と一緒に考えていく場です。

今の病院への気遣いから他病院の意見を聞くことをためらう飼主様もおられますが、動物の健康を第一に考えると選択肢を広げることは非常に重要です。もちろん当院での継続治療もできますが、まずはお話を聞きにお越しいただければと思います。

シニア期の健康診断の重要性

健康な時期の検査数値を把握しておきましょう

若い頃から定期的に健康診断を受けておくと、健康な時期の検査数値を把握しておくことができます。教科書などに記載のある「標準的な検査数値の範囲」は存在しますが、動物個々でその正常値が異なります。健康時のデータを把握していればその子の適正範囲が分かりますので、異常があった場合にも安心です。

シニア期は生活スタイルが変わっていきます

年を重ねるにつれて、徐々に様々な機能や免疫力が弱くなっていくため、生活環境、習慣も、体の変化に合わせて変えていく必要があります。
病気だけではなく認知症の可能性などもありますので、日頃の生活の様子も合わせて獣医師にご相談ください。

早期発見、早期治療が重要です

心臓や腎臓の病気、がんなどは、発生した初期段階では症状があまりないため、健康診断での早期発見が大切です。痛みなどの症状が出るころには手遅れとなっているケースもあります。
定期的に健康診断を受診していただくことで、病気の早期発見を行うことができます。

ネコちゃんは症状や痛みを隠す動物です

ネコちゃんは症状や痛みなどを隠す動物です。そのため、症状が出て来た時には既に病状が進行してしまっていることがよくあります。定期的に健康診断を受診していただくことで病気の早期発見ができます。定期的に健康診断を受診してください。

シニア特有の病気を見つける検査項目

健康診断では、身体検査はもちろん、血液検査やレントゲン検査、エコー検査などを組合わせて行っていきます。
腎臓疾患、心臓疾患、腫瘍などの特に高齢期に多い病気でも血液検査で見つけることができるようになってきました。これらは麻酔などをかけることもないため、動物への負担も少なくて済みます。
定期的な検査を行ってあげましょう。

加齢に伴う体の変化

口腔内の変化

この年代になると、定期的なデンタルケアをしていない限り、歯石の付着や歯周病などのお口のトラブルを抱えている子が増えてきます。放っておくと、悪臭の原因だけでなく心臓病の原因にもつながることもあります。当院では口腔内の状況を調べる簡易デンタルチェックから、食事療法、歯磨き指導、歯石除去処置(スケーリング)なども行っております。
毎日の食事を美味しく食べるためにも口腔内の状態をチェックしてあげましょう。

関節の変化

年をとると、若い頃に比べ動きが悪くなり、遊ばなくなることもあります。
これを老化現象と勘違いしがちですが、関節の軟骨部分がすり減ったり破壊されたりして、股関節・肘・膝・肩など様々な関節に痛みが出る「変性性骨関節症」という病気である可能性もあります。
お散歩時などに注意して観察してあげましょう。

心臓の変化

心臓は生命を維持する上でとても大切な臓器のひとつです。しかし、特にチワワやシーズー、マルチーズなどの小型犬は「弁膜症」という病気になりやすいといわれています。弁膜症とは心臓の中にある4つの部屋を分ける弁(ドアのようなもの)が上手く働かなくなり、血液を全身に送る事ができなくなってしまう病気です。咳をするようになった、お散歩の途中で疲れやすいなどの症状が出てきます。一度心臓病になると完全に治すことは難しいですが、早期発見することでお薬や処方食での治療を始めれば進行を遅らせることができます。

眼の変化

加齢と共に眼の中心が白っぽくなる変化に「白内障」と「核硬化症」があります。核硬化症は水晶体というレンズが硬くなり、すりガラス状に見えるようになる老齢性の変化です。見えづらくなりますが、失明はしないため生活に支障は出にくいです。同じような眼の見え方で気をつけなければならないのが白内障です。進行すると視力低下や失明したり、炎症を起こすと痛みを伴ったりします。白内障を早期に発見できれば進行を遅らせる点眼薬もあります。

腫瘍ができやすくなる

ワンちゃんの死因第1位はがんです。加齢と共にがんはできやすくなり、比較的異常を確認しやすい体の表面にできるがんもあれば、肺・肝臓・骨など眼に見えない臓器のいたるところにできるがんもあります。特に肝臓や脾臓などはがんができても症状が出ることはなく、気づいた時には手遅れということもよくあります。がんを早期に発見できれば手術、抗がん剤、放射線治療などで完治または進行を遅らせることができます。

当院で行っているシニアのワンちゃん・ネコちゃんの治療例

眼科分野

角膜縫合、角膜癒着除去、眼球摘出、眼瞼フラップ、眼瞼切開、眼瞼切除、瞬膜腺突出整復、瞬膜フラップ、瞬膜固定術、瞬膜切除 など

腫瘍関連

眼瞼腫瘤切除、胸部腫瘤切除、趾間腫瘤切除、脂肪腫摘出、耳介腫瘤切除、組織球腫切除、前肢腫瘤切除、前肢指切除、断脚術、乳腺腫瘍切除、尿道腫瘍+尿道カテーテル留置、舌腫瘤切除、背部腫瘤切除、皮膚腫瘍切除、肥満細胞腫切除、腹腔内腫瘤切除、頬腫瘤切除、唾液腺摘出、肛門腫瘍切除、肛門周囲腺腫切除、脾臓摘出、膀胱腫瘤切除、肝臓腫瘤摘出、肺腫瘤切除、胸腺腫切除 など

消化器関連

誤食による胃切開、口腔内フラップ、小腸切除、消化管内異物摘出、腸重積、腸切開、胃捻転、胃幽門部拡張術、腸内異物除去、直腸粘膜引き出し術(プルスルー)、直腸固定、直腸脱整復、内視鏡(異物除去)、内視鏡胃腸検査(粘膜生検含む) など

神経・整形外科関連

骨折整復(プレート・ピンニング・外固定)、推体固定、脊椎造窓術、片側・背側椎弓切除、膝蓋骨脱臼整復、橈尺骨骨折、レッグぺルテス、下顎ワイヤリング、下顎骨折整復術、下顎切除、顎脱臼整復、股関節脱臼整復、後肢骨折整復、骨盤骨折整復、前十字靱帯断裂整復、足根関節脱臼整復、アキレス腱断裂、大腿骨骨頭切除、中手骨骨折整復、半月板切除 など

その他

去勢・避妊手術、鼠径ヘルニア整復、停留精巣摘出、マイボーム腺腫切除、リンパ節切除、陰嚢切除、横隔膜ヘルニア整復、会陰へルニア整復、会陰尿道瘻形成術、回転皮弁、垂直耳道切開、全耳道切除、子宮水腫、子宮蓄膿症、子宮捻転、脱肛整復、胆嚢切除、帝王切開、軟口蓋過長切除、尿石除去、尿道・膀胱切開、尿道脱整復、腹壁ヘルニア整復、狼爪切除、肛門嚢摘出、尿管ステント設置、SUBシステム設置、膀胱結石摘出、膀胱破裂整復、臍ヘルニア整復 など

これら以外にも様々な手術・処置・治療を行っております。

高齢のワンちゃんに多い病気

脊椎の病気(変形性脊椎症など)

老齢期に多く見られ、腰痛や歩行障害などが起こります。重症化すると後肢がマヒし、寝たきりになってしまうこともあります。

生殖器の病気(子宮蓄膿症:女の子)

細菌感染などで子宮の中に、膿が溜まる病気です。避妊手術をしていない6歳以上のワンちゃんに多く見られます。ホルモンバランスの乱れや、高齢に伴う免疫の低下で細菌に感染するリスクが高くなるといわれています

生殖器の病気(前立腺肥大:男の子)

オス犬の膀胱の後方で尿道を囲むように存在する前立腺が徐々に肥大してくるのが前立腺肥大です。進行すると、排便・排尿障害や細菌感染を伴う前立腺膿瘍を引き起こすこともあります。

肛門周囲の病気(会陰ヘルニアなど)

去勢手術をしていないオスがかかりやすくなります。高齢になり、おしりの周りの筋肉が緩んできたためにできた穴(ヘルニア孔)から腸や膀胱が脱出し、排便・排尿障害を起こします。

腫瘍(乳腺腫瘍、リンパ腫など)

腫瘍は癌や肉腫とも呼ばれ、高齢になると発生しやすくなります。
乳腺腫瘍はメスに最も多く発生する乳腺にできる腫瘍です。特に避妊をしていないメスでの発生率が高い傾向にあります。その他にも人間と同様、様々なところに腫瘍が発生します。

心臓の病気(僧帽弁閉鎖不全症など)

僧帽弁とは、心臓の左心房と左心室の間に存在する弁で血液が逆流しないようにする重要な役割を果たしています。この弁が異常をきたし心不全による咳・運動不耐・失神・肺水腫などの症状が出ます。

関節の病気(変形性関節症など)

主に、中高齢期の股関節・肘・膝・肩に良く見られ、関節の軟骨組織がすりへったり、破壊されたりすることにより、関節が変形し様々な部位に発生して関節の動きが悪くなったり慢性的な炎症や痛みを伴います。

お口の病気(歯周病など)

歯と歯ぐきの間に入り込んで増殖した細菌によって歯ぐきが炎症を起こし、歯を支える部分が破壊されていく病気です。歯に溜まった歯垢や歯石が主な原因となります。

高齢のネコちゃんに多い病気

ホルモンの病気(甲状腺機能亢進症など)

特に中高齢によくみられます。甲状腺の機能異常により、ホルモンが過剰分泌されて障害が現れてきます。食欲があるのに痩せていく場合は要注意です。

腎臓の病気(腎不全など)

腎臓の働きが悪くなり、老廃物が体内に溜まることにより、貧血や尿毒症などを引き起こします。飲水量やおしっこの量が増えてきたら、まず腎疾患を疑いましょう。

膵臓の病気(膵炎・三臓器炎など)

老齢期のネコちゃんによくみられますが、食欲低下、体重減少や下痢など他の病気と症状が似ているため、見つけにくい病気です。胆管肝炎などを併発し、黄疸が見られることもあり、重症化すると命に関わる病気です。

腫瘍(乳腺腫瘍など)

雌の乳房またはその付近の乳腺に様々な大きさの「しこり」が発生する病気です。猫の乳腺腫瘍は90%以上が悪性で早期の外科切除が必要となります。

関節の病気(関節炎など)

歩き方がおかしい、足をひきずるなどの症状が出ます。関節軟骨の障害により、慢性的な痛みが持続し生活の質が低下します。

お口の病気(歯周病など)

歯と歯ぐきの間に入り込んで増殖した細菌によって歯ぐきが炎症を起こし、歯を支える部分が破壊されていく病気です。歯に溜まった歯垢や歯石が主な原因となります。

上記の病気は一例です。また、病気を予防するためにも日頃のケアに注意しましょう。