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初めましてのご挨拶と予防方法の違いについて

2023.04.30

はじめまして、4月からリバティ神戸動物病院にて働いております、獣医師の長澤と申します。よろしくお願いします。

大学では寄生虫学研究室に所属し、寄生虫の勉強をしていました。私の専攻はエキノコックスでしたが、皆さんによりなじみの深い寄生虫はもうじき予防期間の始まるフィラリアですよね。

春は予防シーズンとよく言われますが、予防というと狂犬病、各種混合ワクチン、フィラリア、ノミ・ダニあたりを連想されると思います。これらの病原体はウイルス、細菌、寄生虫や節足動物などに分類され、予防方法が異なります。

 

狂犬病や混合ワクチンで予防できる病原体はウイルスや細菌であり、これらに対してはその病原体の毒性を弱めたもの(生ワクチン)や病原体の感染する能力を失わせたもの(不活化ワクチン)を注射により体の中に入れ、それに対する免疫をあらかじめ作っておくことで病原体の感染を防ぎます。免疫の正体は主に体の中で作られる“抗体”なのですが、次第にこの抗体が作られなくなってくる為、作る能力が落ちてきたら再びワクチンの接種をすることで抗体を作る力を取り戻させます。この抗体産生能力の落ちてくる時期は、製剤やわんちゃんねこちゃんそれぞれによって異なるのですが、免疫の安定しない若い子達を除き、当院では狂犬病や混合ワクチンは年に1回の接種を推奨しています。(狂犬病は年1回が義務となっています。)

 

フィラリア、ノミ・マダニなどは寄生虫や節足動物にあたります。寄生虫などはワクチンがまだ開発段階であったり、開発が進んでいなかったりする為、特に国内では認可されたワクチンはありません。ワクチンではなく、寄生虫や節足動物自体を殺す成分などを体の内外に適用し、定着した虫を殺す、もしくは虫に定着をさせないことで感染を防ぎます。薬剤は体の外への排出などにより効果が次第に落ちてきますので、落ち切る前に再び薬剤を投与することになります。効果のなくなってくる時期もお薬の種類によって異なり、それぞれのお薬にあった頻度での継続的な投与が大切です。

 

まとめると、

 

狂犬病、混合ワクチン

→ウイルス、細菌。抗体によって感染を防御します。病院での定期的なワクチン注射となります。

 

フィラリア、ノミ・マダニ

→寄生虫、節足動物。お薬の成分により駆虫します。ご家庭での継続的なお薬投与で予防できます。

 

といった感じになります。いずれも目的は病原体から体を守ることですが、守り方が異なります。適切な方法でわんちゃんねこちゃんの健康管理にお役立て下さい。

 

 

最後に、我が家で飼っている猫、きゅうちゃんです。

元々ノラで、お迎えした時には寄生虫の一種、回虫に感染しており、うんちから白いうにょうにょが出ていました。

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