症例紹介

Case

2024/6/25

泌尿器/生殖器科

猫の尿石症について繰り返す尿路閉塞に対して手術を行った症例

猫は尿石症や膀胱炎、慢性腎臓病など泌尿器の病気が多いです。
その中でも、尿石症は年齢に関わらず発症し、放置すると命に関わる場合もあります。

飼い猫に排尿のトラブルが見られたら、尿石症が頭に浮かぶ飼い主様も多いのではないでしょうか。

今回は猫の尿石症について原因や診断や様々な治療法のメリットやデメリットを実際の症例を交えて解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、飼い猫の健康管理に役立ててくださいね。

猫の尿石症とは?

猫の尿石症は下部尿路疾患のひとつで腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道に結石ができる病気です。
症状は結石ができる部位によって異なります。

腎結石や膀胱結石では無症状のこともありますが、血尿や頻尿など膀胱炎症状がでることが多いです。

尿管や尿道に結石が詰まった場合は尿路閉塞を起こします。
尿管に詰まったものを尿管結石と言います。
尿管結石では血尿が出たり、排尿痛などが見られることがあります。

尿道に詰まったものは尿道結石と言います。
尿道結石では頻尿やトイレに行っても排尿できないなどの症状が見られます。

どちらも重症化すると急性腎障害を引き起こし、食欲不振や嘔吐なども全身症状を発症します。

尿石症の原因

尿石症の原因には様々なものがあります。主な原因には

  • 水分摂取量の低下
  • 不適切な食事
  • 遺伝的要因

などが挙げられます。

尿石症は尿のpHバランスが崩れるとできやすくなります。
pHがアルカリ性に傾くとストルバイト結石ができやすく、酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結石ができやすくなります。

以前はストルバイト結石の方が多かったですが、ストルバイト結石の治療として尿を酸性化する療法食が出てきてからシュウ酸カルシウム結石が増えてきています。

また、尿が濃くなると尿中のミネラル成分が濃縮され、結石ができやすくなります。
水分摂取量が減ってしまうと尿が濃くなってしまいます。
特に冬場は飲水量が減ることが多いので、注意が必要ですね。

猫の尿管結石は純血種、特にアメリカンショートヘアやスコティッシュフォールドに多いとされています。
また、摘出した結石はほとんどシュウ酸カルシウム結石であったという報告があります。

診断

尿石症は尿検査で結石や結晶の成分を確認することで診断可能です。
しかし、尿検査で異常がなくても尿石症が隠れていることがあります。
尿石症を確実に診断するには尿検査だけでなく、レントゲン検査や超音波検査が必要になります。

尿検査だけでは尿石症を見逃してしまう事があるので、注意するようにしましょう。

治療法

尿石症の治療は結石の種類によって異なります。
ストルバイト結石であれば、食事で溶かせることがあるので療法食を用います。
しかしストルバイト結石でも症状を繰り返していたり慢性化している場合は手術が必要になることもあります。
シュウ酸カルシウム結石は療法食で溶かすことが出来ません。
腎結石や膀胱結石で症状がほとんどない場合は経過を見ることもありますが、尿管結石や尿道結石で尿路閉塞を起こしている場合では緊急手術が必要になることもあります。

手術では全身麻酔が必要になり、体に負担がかかるので、その症例ごとに適切な治療法を選択することが重要になりますね。

実際の症例

5歳の去勢オスのラガマフィンがずっとトイレにこもっているという主訴で来院されました。
排尿困難による症状が疑われたため尿道にカテーテルを挿入し、結石による閉塞を確認しました。

尿道閉塞はカテーテルによって膀胱に押し戻すことが可能でした。

血液検査では腎数値の上昇があり、尿路閉塞による腎障害が見られました。

超音波検査で膀胱内に複数の結石があることが分かります。

また右腎の腎盂がわずかに拡張しており、尿管拡張と尿管開口部に結石を認めました。

尿検査も行い、結石はシュウ酸カルシウム結石であることが分かり、結石のケアをするために療法食を開始しました。

また、尿管結石を膀胱内に落とし、腎臓を保護するために点滴を行いましたが、何度か尿道閉塞を繰り返すため飼い主様と相談し手術を実施しました。

手術では膀胱切開し結石を取り出し、結石が詰まっていた尿管は膀胱尿管吻合術を行いました。
こちらが拡張した尿管の写真です。

この尿管を切断し詰まりがない部分を膀胱に繋ぎ直しています。

下の写真が尿管を新たに膀胱に吻合した写真です。

今回の手術で複数の結石が摘出されました。

手術後は排尿も問題なく、経過良好で元気に過ごしています。

尿石症の手術法にはどんなものがあるの?

猫の尿石症の中でも、特に尿管結石の手術には様々なものがあります。
手術法は結石が詰まっている場所や結石の個数などを考慮して選択されます。
今回の症例のように膀胱尿管吻合術や人工尿管を設置するSUBシステム、尿管切開術などがあります。
膀胱尿管吻合術や尿管切開術のメリットとしては

  • 術後の感染リスクが低い
  • 術後のメンテナンスの手間が省ける

などがあります。

デメリットとしては

  • 術後の狭窄などによる再閉塞のリスクが高い
  • 術後の合併症リスクが高い
  • 手術時間が長い

などが挙げられます。

SUBシステムは、その他の手術法と比較して

  • 再閉塞のリスクが少ない
  • 術後の合併症リスクが低い
  • 手術時間が短い

など多くのメリットがあります。

デメリットとしては

  • 尿路感染のリスクが高い
  • 定期的なメンテナンスが必要
  • SUBシステムの交換が必要になるケースがある

などが挙げられます。

手術法に関しては、症例の年齢や腎機能など様々な要因を考慮することが大切です。

まとめ

猫の尿石症では、今回の症例のように尿路閉塞を起こすと急性腎障害を発症し命に関わることがあります。
尿石症の症状は今回のように尿が出ないだけではなく、食欲不振や嘔吐など他の病気と区別がしづらい場合もあります。

尿路閉塞は時間が経つほど、腎臓へのダメージが大きくなります。
普段から飼い猫の様子をよく観察していただき、何か異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。

「尿道閉塞を繰り返しているけど大丈夫なの?」
「高齢で尿管結石があると言われているけど、手術はした方がいいの?」
「尿石症は療法食を食べていれば、よくなるの?」
など、不安を感じている飼い主様は是非当院までご相談ください。

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