症例紹介

Case

2024/5/25

泌尿器/生殖器科

犬の膀胱結石について手術により結石を摘出した症例

膀胱結石は犬や猫でも比較的メジャーな病気です。

尿が作られる過程で必要な腎臓、尿管、膀胱は結石ができやすく、場所によってそれぞれ、腎結石、尿管結石、膀胱結石と言われます。
結石はミネラルなどの老廃物が過剰になることで結晶化し、結合することで形成されます。

今回は膀胱に結石ができ手術により摘出した症例を交えつつ、膀胱結石について解説していきます。

膀胱結石の原因

犬の膀胱結石はストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が約9割を占めており、両者の発生率はほぼ同程度と言われています。
犬のストルバイト結石は、その多くが膀胱での細菌感染から起こっているとされており、結石の治療後も細菌感染の対策が必要です。
シュウ酸カルシウム結石の原因は

  • 濃い尿
  • 尿中への過剰なカルシウムの排泄
  • 尿中への過剰なシュウ酸の排泄

などがあります。

症状

症状は一般的な膀胱炎の症状であることが多く、

  • 尿もれ
  • 頻尿
  • 血尿
  • 排尿痛

などがありますが、症状もなく検査により偶然見つかることもあります。

治療法

治療法は結石の種類によって異なります。

ストルバイト結石は基本的に食事で溶かすことができるため、食事療法により治療を行います。
また、尿の細菌感染が原因で結石になることが多いため、抗生剤を服用してもらいます。

シュウ酸カルシウム結石の場合は食事により溶かすことができないため、外科的な摘出が必要です。
人のように超音波で結石を細かく砕いて排泄できる大きさにするという治療は獣医領域ではまだすすんでおらず、膀胱を切開して取り出すか、腹腔鏡を用いて摘出します。

膀胱結石の予防

犬のストルバイト結石は膀胱炎の予防が効果的です。
飲水量を増やし、排尿回数を増やすことで膀胱内を定期的に空にできる頻度を増やしましょう。

シュウ酸カルシウム結石の予防は

  • ストルバイト結石同様、飲水量を増やし、排尿回数を増やす
  • ストルバイト結石予防用のご飯を食べている場合はやめる
  • ビタミンのサプリメントを飲んでいる場合は獣医師と相談し、摂取制限をする
  • カルシウムのサプリメントを飲んでいる場合も獣医師と相談し、摂取制限をする

水をあまり自発的に飲まない犬も多いと思います。
その場合は以下のことを試して、水分を摂る工夫をしてみましょう。

  • ウェットフードにする
  • ご飯をふやかす
  • 水の皿を増やす
  • 水に少し味をつけてみる(鶏肉の湯がき汁を少し混ぜるなど)

実際の症例

8歳の去勢オスのヨークシャテリアが嘔吐、下痢の相談に来院されました。
この来院時の検査にて偶然、膀胱結石を見つけることができました。


嘔吐下痢の検査とともに、尿の検査も行いました。
尿検査では出血が認められ、菌や炎症細胞も多数確認されました。

今回の検査では明らかな結晶成分が認められず、ストルバイト結石かシュウ酸カルシウム結石かを診断することは困難でした。
出血や尿もれが日常的に起こっていることから、この症例が膀胱炎で日常生活に支障が出ていると判断し、嘔吐・下痢の治療が終了したのち、摘出手術を行いました。

結果はリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)でした。

まとめ

今回の症例は尿の検査で結石の成分を判断することが困難であり、摘出手術を行いました。
犬のストルバイト結石は細菌感染のコントロールが結石の予防にも繋がります。
現在、結石に配慮したご飯が増えては来ていますが、シュウ酸カルシウム結石に対する予防はご飯では困難です。
普段、ペットの尿をあまり観察しない飼い主様もいるかとは思います。
尿の病気にすぐ気づくためにも、この機会に今一度ペットの一回の排泄量がどれくらいか、普段どんな色かを観察し直してみるのも良いかもしれません。

何か気づくこと、気になることがあれば当院までご相談いただければと思います。

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