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誤食

こんにちは。獣医師の本田です。

今回は、来院理由としてできる限り減らしていきたい「誤食」についてです。

ある調査では、年間20万件以上もの誤食が全国で発生しているとされています。
経過観察で問題ない症例も多い一方、緊急手術を必要とし、なかには死に至る場合もあります。

異物内容として
1) 消化管穿孔・腸閉塞など物理的な危険性を持つ「異物」
2) 全身症状を引き起こす薬理的な危険を持つ「中毒物」
に大別されます。

異物の中で死亡例が多いのが、ひも靴下やタオルなどの布類竹串果物や梅干しの種石や砂ボールなどです。
また中毒物の中で死亡例が多いのがエチレングリコール(不凍液)で、これからの季節は熱中症対策などで保冷剤を使う場合は特に注意してください。その他、ナメクジ駆除剤殺鼠剤観賞用ユリ除草剤ネギ類チョコレートヒト用の医薬品も致死性が高く危険です。

誤食は
1. 誤食事故を起こさせる可能性のあるモノがある
2. 1.に関心を持つ
3. 2.を口にする
4. 3.を飲み込む
の4ステップが考えられます。
これらのステップのどれかを止めることができれば誤食事故は発生しません。

【対策1】置かない
【対策2】関心を持たせない
  …欲求不満を解消する / 触れてほしくないモノに近寄らせないようにする / 散歩中は飼い主を意識させる
【対策3】口にしても騒がない
【対策4】「貸して」遊びをしておく

どの対策にも長所短所とありますが、ご家庭の環境やライフスタイル、犬・猫の性格などに合わせて、組み合わせて行っていきましょう。

誤食で起こる症状は様々です。
主たるものは嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状で、他に呼吸困難(食道内異物による気管の圧迫)、皮膚膿瘍(竹串などが皮膚まで貫通)、神経症状や腎不全(中毒)などがあります。ただし、無症状の場合も少なくありません。
目の前で食べた場合は間違いありませんが、疑わしい時に自宅で様子を見過ぎて大変な事態になっていた、とならないよう、早め早めに病院までご連絡ください。

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