叱らないトレーニング
2012.07.27
こんにちは、看護士の道端です。
今回は「叱らないトレーニング」について書きたいと思います。
犬のトレーニングには様々な方法があり、なかには「罰を与える」「叱る」といったトレーニングもあります。ただ、この「叱る」というトレーニングは私としてはあまりオススメできません。
理由は簡単。
『犬のどの行動に対して、何が悪くて怒っているのか』を私たちは『犬に説明することができない』からです。
人間の子供を叱るとき、「こういうことをしてはいけません」と私たちは言葉にして説明することができます。でも相手は犬です。人間の言葉は通じません。
なぜ自分が怒られているのか?その理由を人間から説明することができないため、犬たちは自分でその理由を考えるしかありません。そしてその場合、『犬が考えた理由』が人の思っていた通りになるとは限らないのです。
たとえばトイレトレーニング中。
犬がトイレとは違うところでオシッコをしてしまいました。これを飼い主が叱ったとします。このとき飼い主が怒る理由は「間違った場所でトイレをしたから」です。
でも犬が「なぜ自分が怒られたのか」と考えたとき、次のように考えるかもしれません。
・部屋の中にオシッコをしたから?
・飼い主の前でオシッコをしたから?
前者は飼い主の思い通りです。でも後者は違いますね?
もし後者で犬が叱られた理由を学んでしまった場合どうなるか。『飼い主に隠れてオシッコをする』ようになり、そのたびに飼い主はトイレの失敗を見つけては犬を叱るようになるでしょう。これではいつまでたっても問題は解決しません。
それどころか『オシッコをする』たびに怒られる犬は次第に飼い主に対して不信感を抱いてしまいます。
叱るトレーニングをオススメできない理由はもう一つ。『加減』がわからないからです。
プロのトレーナーさんは、もちろん『叱る』ということも上手に使ってトレーニングができます。そのための知識も技術も経験も持っているからです。
でも普通の、一般の飼い主さんにはそんな技術も知識もありません。ただ叱るだけでは犬には「なぜ怒られているのか」「ではどうすればいいのか」が伝わらず、飼い主との信頼関係が崩れていくだけです。
「今まで叱るトレーニングでもうまくいけた」
「叱らないとどちらの立場が上か犬が理解しない」
そうおっしゃる方もいるでしょう。でも、考えてみてください。
叱ったことを犬が正しく理解できるか?トイレをした場所について怒っているのか、トイレという行為自体を怒っているのか、犬がどちらを選ぶかは賭けでしかありません。うまくいけばいいですがうまくいかなかった場合、「隠れてトイレをする」という新しい問題が増えるだけです。
また、家族の中での順位付けをしっかりしないと犬はいうことをきかないと昔から言われてきましたが、最近の行動学の研究では「犬は人間と自分を違う種類と区別しており、犬の順位付けの中に人間は含まれない」といわれています。つまり、犬を服従させて人が上に立つ必要はないということです。
また、とくに日本犬の子などは、叱られることで逆に反抗心を抱くことが多いと言われています。叱るトレーニングに失敗した場合、もしかしたら飼い主に不信感を抱いてしまい、飼い主を怖がる、あるいは反抗して咬みつきにくるような子になる、かもしれません(あくまでその子のもともとの性格など個人差はありますが、それでも日本犬には多いと言われています)。
では叱らずにどうトレーニングをしていくか?
私は「褒めるトレーニング」をオススメします!
犬が正しい行動(人にとって良い行動)をしたときにたくさん褒めてあげてください。犬は自分にとってよいことを学んでいく動物です。
正しい場所でオシッコができたときにはしっかり褒めてあげてください。このとき犬は「ここでオシッコをするといいことがある(褒めてくれる)」と学びます。自分にとっていいことがあれば、犬はその行動を繰り返し行うようになります。つまり、正しい場所でトイレができるようになります。
褒めるトレーニングも、正しいタイミングで行わなければならないなど技術や知識が必要になってきます。でも、叱ることより褒めることのほうが犬はきっと嬉しいでしょうし、飼い主さん自身も楽しくトレーニングができると思います。
せっかく家族の一員として迎えたわんちゃんと、どうせなら仲良く楽しく暮らしてほしい。私はそう思います。
それでは、暑い日が続いていますが飼い主様、ペットさんともに熱中症などに気をつけて楽しい夏をお過ごしください!