今の時期だから知りたい!フィラリア症予防ってなんでまだやるの?
2020.11.22
こんにちは。獣医師の柳田里澄です。
紅葉が綺麗な時期になってきましたね。
コロナ第三波といわれているので紅葉狩りには今年いっていませんが、
雰囲気をだすために去年の清水寺の紅葉の写真をのせておきます。
すっかり秋だというのに、11月に私は蚊に噛まれました…
みなさん気をつけてください。
やつらはまだいます…
蚊といえばフィラリア症。※今回は犬のフィラリア症のお話をします
フィラリア症とは、蚊によって媒介される“犬糸状虫”(フィラリア)という線虫が肺の血管や心臓の中に寄生することで発症する病気のことです。
※正確には犬糸状虫はフィラリアの一種ですが、ややこしいので以下フィラリアと呼びます。
ワンちゃんを飼っている方はもう知らない方が少ないかもしれません。予防している飼い主様が多いと思います。
でもこんなこと思ったことありませんか?
“さすがに11月にもなると蚊いなくないし、予防薬って飲ませる必要ある?”
“獣医と製薬会社が儲けようとして長めに言うてるんじゃないのー?(¬◡¬)✧”
実は、蚊がいなくなってから“1か月後”はフィラリア症予防薬を飲ませる必要があるんです。きょうはそのからくりをお話ししようと思います。
フィラリアは、成虫になるまでに5段階の幼体期(子虫)を経て成長します。
①赤ちゃん→②園児→③小学生→④中学生→⑤高校生みたいなイメージですね。
蚊に噛まれたときにワンちゃんの体に入ってくるときは3段階目の状態(小学生)でやってきます。
そして体内で成長し、5段階目の状態(高校生)になると心臓に向けて移動を始めます。そして刺されてから最短で2か月ほどで心臓に到達し成長し、成虫になると繁殖力を持ち、わんちゃんの体の中でどんどん増えていきます。
しかも厄介なことに、大人の虫は予防薬では殺せないし、大量の子虫が体にいる場合副作用がでるため予防薬を普通に飲ませることはできません。
そこで、フィラリア症予防薬は何をしているかというと…
“1か月に1回投与することで、子虫の間に殺してしまい、大人にさせないようにしているんです!”
※予防薬=フィラリアが体に入るのを予防してるわけじゃない!
ここまで読んでいただいた方はもう、お気づきかもしれませんが・・・
もし11月に蚊に刺されてしまい、フィラリアの子虫が体に入ってしまった場合、12月に予防薬を飲まないと、子虫はのびのびと成長し、来年5月の薬を飲み始める頃には立派な成虫に成長。子虫を大量生産している可能性があるんです。
だから、蚊がいなくなってから1か月後まで予防薬を飲む必要があります!
11月、12月に「また来年でいいや~」ってやってしまうと、子虫がいたら成虫になるには十分の時間を与えてしまうので怖いんです。
最後まで気を抜かずフィラリア症予防をよろしくお願いいたします。