症例紹介

Case

2024/4/11

泌尿器/生殖器科

犬の前立腺膿瘍の一例前立腺膿瘍は去勢手術で予防できる

犬を飼っている方々は、一度は去勢手術をする理由について考えてみたことがあるのではないでしょうか?
せっかく全身麻酔をかけて去勢手術を行うなら、それなりに大きな意味を持たせたいですよね。
去勢手術を行う理由の一つに「病気の予防のため」というものがあります。

今回は若い時に去勢手術をしなかった犬で前立腺膿瘍を発症し、手術を行った症例をご紹介します。

同じ病気を発症している犬を飼われている方はもちろん、去勢手術を行うかどうか悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

前立腺膿瘍とは

前立腺は雄の性腺の一つで尿道を包むように存在している臓器です。
去勢をしていない雄犬の場合は加齢とともに前立腺が大きくなる傾向にあります。
前立腺膿瘍はこの前立腺に感染が起こり、膿が溜まってしまう病気です。

前立腺は尿道を包むように存在しているので、症状としては

  • 血尿
  • 排尿痛
  • 膿尿

などが見られます。
前立腺膿瘍が破裂すると腹腔内に膿が漏れ出てしまい、重篤な感染症(敗血症)を発症することがあります。

治療には

  • 抗菌薬
  • 穿刺による膿の吸引
  • 外科切除によるドレナージ

があり、状況に応じて選択されます。

それでは実際の犬の前立腺膿瘍の症例を紹介していきます。

前立腺膿瘍の犬に外科的にドレナージを行い大網被覆術を行った実際の症例

症例は15歳のミニチュアダックスフンドで元気や食欲がなくなって、吐いているとのことで来院されました。
様々な検査をしてみると、血液検査では重度な感染症を意味する杆状好中球の上昇が見られ、エコー検査では前立腺に多数の膿疱と、腹水が見られました。

 

 

 

 

腹部に針を刺して腹水を抜き検査してみると、腹水が炎症を意味する滲出液ということがわかりました。

以上のことから、今回の症状を前立腺膿瘍から発症した腹膜炎による感染症と診断しました。

抗菌薬によって治療を開始し、一旦状態は改善したのですが、症状が再発する可能性を考え、治療開始3日で手術を行うこととなりました。

手術は

  • 去勢手術(精巣摘出術)
  • 前立腺の部分切除と洗浄
  • 大網被覆術

を組み合わせて行われました。
去勢手術は今後の前立腺肥大を予防するために、前立腺の部分切除と洗浄は膿瘍になっている場所を切除し、感染源となっている場所をきれいにするために行われました。
大網被覆術で用いられる大網は、普段は腸を覆っている網状の臓器で、血流とリンパ組織が豊富なため、感染を抑える効果や滲出液を吸収する効果があります。
大網被覆術は切除した膿瘍の感染の再発や、手術後の腹膜炎を予防するために行われました。

 

 

手術は無事に終わり、その後は再発もなく元気に過ごせるようになりました。

前立腺膿瘍を予防するには去勢手術?

前立腺膿瘍は去勢をしていない中高齢犬で多いと言われています。
去勢手術をすることで予防ができる前立腺疾患の中には

  • 前立腺肥大
  • 前立腺炎
  • 前立腺膿瘍

などがあります。
この中で前立腺膿瘍は特に重い症状が出ることが多く、警戒が必要な病気です。
前立腺肥大や前立腺炎は発症してから去勢手術をすれば治ることが多いですが、前立腺膿瘍は今回の症例のように去勢手術以外の手術を組み合わせないと治りません。
発症する前の若い頃に去勢手術を行うのが最も良いということですね。

まとめ

去勢手術で予防できる病気には様々な病気があり、今回紹介したような重い症状を示す病気を発症することがあります。
今回の記事を通じて去勢手術をすることのメリットを知った上で、去勢手術を行うかどうか検討していただけると嬉しいです。
去勢手術をするかどうか悩んでいる方は当院までお問い合わせください。

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