症例紹介

Case

2026/8/5

エキゾチックアニマル

うさぎの間細胞腫に対して去勢手術を行なった症例を解説ミニレッキスの間細胞腫の一例

「最近、睾丸が大きくなってきた気がする」
「うさぎの睾丸が腫れているけど大丈夫?」
「高齢のうさぎでも手術できるの?」
このような経験やご不安をお持ちの飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
うさぎの睾丸の腫大には腫瘍が関係していることがあります。

本記事では睾丸の腫大を主訴に来院されたうさぎの症例をご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、うさぎの体に異変があった際の参考にしていただければ幸いです。

うさぎの間細胞腫について

間細胞腫は精巣の中にある間細胞と呼ばれる細胞から発生する腫瘍です。
間細胞は男性ホルモンを分泌する細胞で、うさぎの精巣腫瘍の中でも比較的多く見られます。
間細胞腫は中高齢の未去勢雄のうさぎで発見されることが多い腫瘍のひとつです。
ほとんどの場合で良性とされており、早期に精巣を摘出する去勢手術が行われれば予後は良好なことが多い腫瘍です。
ごく稀に悪性の経過をたどることもあるため、定期的な経過観察が大切になります。

うさぎの間細胞腫の症状

うさぎの間細胞腫では

  • 睾丸の腫大
  • 睾丸のサイズの左右差
  • 睾丸の硬さや形の変化
  • 攻撃性の増加や過剰なマーキング行動

といった症状が見られます。
初期には目立った症状がなく、気づかないうちに腫瘍が大きくなっているケースも少なくありません。
腫瘍が大きくなると睾丸の腫大が外見からも明らかになりますが、小さい段階では触診しないと気づきにくいこともあります。
日頃からうさぎの体を触って、異変に早く気づける習慣をつけておくことが早期発見につながります。



うさぎの間細胞腫の診断

うさぎの間細胞腫の診断には

  • 身体検査
  • 超音波検査
  • 血液検査
  • 病理検査

などの検査が必要です。
病理検査とは摘出した精巣を専門機関で調べてもらい、腫瘍の種類や性質などを確認する検査です。
うさぎの間細胞腫の確定診断は手術で摘出した組織を病理検査に提出することで行われます。
超音波検査だけでは腫瘍の良性・悪性を判断することが難しいため、摘出後の病理検査が非常に重要です。



うさぎの去勢手術について

うさぎの去勢手術は腫瘍の治療目的以外にも

  • 精巣腫瘍・精巣炎の予防
  • 攻撃性やスプレー行動などの問題行動の軽減
  • 同居うさぎとのトラブル防止

といったメリットがあります。
一方で、うさぎは犬や猫と比べて麻酔のリスクが高い動物とされています。
これはうさぎが繊細なストレス反応を示しやすく、消化管の動きが止まる消化管うっ滞を起こしやすいためです。
手術前にしっかりと全身状態を評価し、リスクを十分に説明したうえで実施することが大切です。
当院では術前検査を行い、一頭一頭の状態に合わせた麻酔管理を行っています。



うさぎの間細胞腫の治療

うさぎの間細胞腫の治療は去勢手術が第一選択です。
腫瘍が精巣内に留まっている段階で摘出できれば根治が期待できます。
術後はうっ滞の予防を目的に消化管の動きを助ける薬の投与や早期の食事再開を促す管理が必要です。
手術後は摘出した精巣を病理検査に提出し、腫瘍の性質が確認されます。
病理検査の結果によってその後の経過観察の頻度や方針が変わることもあります。

実際の症例:ミニレッキスの間細胞腫

今回ご紹介するのは「最近、睾丸が大きくなってきた」とのことで来院された9歳のミニレッキスの症例です。
身体検査では両側の睾丸に腫大が確認され、とくに左精巣が著しく大きくなっていました。
血液検査を含む術前検査で全身状態を評価したうえで、去勢手術を実施することになりました。
手術前の腫大した精巣の様子です。

うさぎの腫大した精巣

手術は全身麻酔下で行い、両側の精巣を摘出しました。

摘出したうさぎの精巣

手術後の術創の様子です。

精巣摘出後のうさぎの陰部

病理検査の結果、摘出した精巣は左右ともに間細胞腫と診断されました。
腫瘍は精巣内に留まっており、切除断端にも腫瘍細胞は確認されませんでした。
間細胞腫はほとんどの場合で良性ですが、ごく稀に転移することもあるため術後も定期的な経過観察を継続しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
うさぎの睾丸の腫大は見た目だけでは腫瘍かどうか判断が難しいことがあります。
今回の症例のように早期に手術で摘出し病理検査を行うことで、腫瘍の性質を確認して適切な経過観察につなげることができます。
9歳を超える高齢のうさぎでも術前検査でしっかりリスクを評価することで、手術に臨むことができました。

当院ではうさぎをはじめとするエキゾチックアニマルの診療にも力を入れており、手術にも対応しております。
「睾丸が大きくなってきた」「左右の大きさが違う」といった変化に気づいた際は、お気軽にご相談ください。



pagetop
loading