症例紹介

Case

2026/7/28

エキゾチックアニマル

当院で歯科処置を行ったうさぎの一例うさぎの不正咬合について

うさぎと暮らしている飼い主様の中には
「最近うさぎの食欲が落ちてきた」
「牧草を食べにくそうにしている」
「便が小さくなった気がする」
このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

うさぎは体調不良を隠す習性があるため、異変に気がついた時には病気が進行していることも少なくありません。
中でも不正咬合はうさぎで非常によくみられる病気です。
うさぎの不正咬合を放置すると痛みによって食事ができなくなり、命に関わります。

今回はうさぎの不正咬合について解説するとともに、実際に当院で治療を行ったネザーランドドワーフの症例をご紹介いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、うさぎの歯の病気についての知識を深めていただければ幸いです。

うさぎの歯について

うさぎの歯は一生伸び続ける常生歯という歯です。
野生のうさぎは硬い草や植物を長時間噛むことで歯をすり減らしているため、歯が伸び続けても少しずつ摩耗して正常な長さが保たれています。
しかし飼育下では食事内容や歯並びの異常などによって歯が正常にすり減らず、さまざまなトラブルが起こることが少なくありません。
目に見えやすい前歯の切歯だけでなく、奥歯である臼歯の異常にも注意が必要です。

うさぎの不正咬合とは

不正咬合とは歯の噛み合わせに異常が生じた状態です。
歯が正常に噛み合わなくなることで過剰に伸びてしまいます。
伸びすぎた歯は口の中や舌を傷つけたり、食べ物をうまく噛めなくしたりします。
うさぎでは前歯の不正咬合もみられますが、臼歯の不正咬合も多いです。
うさぎの臼歯は口の奥にあるため外から異常が分かりにくく、不正咬合の発見が遅れることも少なくありません。

うさぎの不正咬合の原因

うさぎの不正咬合にはさまざまな原因があります。
代表的なものとして

  • 先天的な歯並びの異常
  • 加齢による噛み合わせの変化
  • 牧草不足などの食事内容
  • 外傷による顎の変形

などが挙げられます。

切歯の不正咬合の場合は遺伝性や外傷性の原因が多いです。
特に遺伝性の不正咬合はロップイヤーなどの短頭種や、体の小さなドワーフ種に多いといわれています。
外傷性の不正咬合では、うさぎがケージの格子を齧って引っ張る癖が原因となることが多いです。

臼歯の不正咬合では、繊維質の少ないペレットなどの食事内容による歯のすり合わせ不足が原因になることが多いです。
うさぎの不正咬合を予防するには繊維質豊富な牧草を積極的に与えるようにしましょう。

うさぎの不正咬合の症状

うさぎの不正咬合の代表的な症状には

  • 食欲不振
  • 牧草を食べなくなる
  • よだれが出る
  • 便が小さくなる

などがあります。

うさぎが不正咬合になると歯が口の中を傷つけることで痛みが出たり、食べ物をうまく噛めなくなります。
その結果、食欲不振や牧草を食べないといった症状が見られることが多いです。
うさぎは食事量が減ると胃腸の動きも低下します。
その結果、便が小さくなったり量が減ったりすることがあります。
特に食欲低下と便の変化は不正咬合の重要なサインです。

うさぎの不正咬合の治療

うさぎの不正咬合の治療では伸びすぎた歯を削る切削処置を行います。
切歯の歯科処置では、大人しいうさぎであれば無麻酔や鎮静処置で行うことがあります。
しかし臼歯の処置では口の奥までしっかり確認する必要があるため、全身麻酔下で行うことが一般的です。
歯を適切な長さに整えることで痛みが改善し、食欲も回復することが期待できます。

ただしうさぎの不正咬合は根本的に治る病気ではありません。
一度不正咬合を発症したうさぎでは再発することも多く、定期的な歯科検診や歯科処置が必要になります。
また日頃から牧草をしっかり食べられる環境を整えることも重要です。

実際の症例

今回ご紹介するのは当院で治療を行ったネザーランドドワーフの症例で、8歳9か月の避妊済みの女の子です。
飼い主様は「最近食欲が落ちていて便も小さくなっている」とのことで来院されました。
診察を行ったところ、右上顎と左下顎の臼歯の過長が認められました。
伸びた歯が口腔内を刺激しており、痛みによって十分に食事ができなくなっていたと考えられます。
不正咬合と診断し、麻酔下で臼歯の切削処置を実施しました。

これは歯科処置前のうさぎの口の中です。

不正咬合のうさぎの歯科処置前の口の中

 

不正咬合で尖った臼歯が、うさぎの頬の内側や舌を刺激しています。
とても痛そうですよね。

これは切削処置後のうさぎの口の中です。

不正咬合のうさぎの歯科処置後の口の中

 

臼歯の尖った部分が無くなり、うさぎの頬の内側や舌を刺激しないようになったことがわかります。
歯科処置後はうさぎの食欲が回復し、便の状態も改善しました。
このうさぎは現在も定期的に経過観察を行いながら元気に過ごしています。

うさぎの不正咬合では今回の症例のように、食欲不振や便が小さくなるという症状が最初に現れることが多いです。
うさぎに元気や食欲の低下がみられた場合には、不正咬合が隠れている可能性も考えてなるべく早く動物病院を受診しましょう。

まとめ

いかがでしたか。
うさぎの不正咬合は非常によくみられる歯科疾患です。
食欲不振や便の変化など、一見すると歯の病気とは思えない症状として現れることもあります。
うさぎは体調不良を隠す動物であるため、異変に気づいたら早めに動物病院を受診することが大切です。
また、不正咬合は再発しやすい病気です。
定期的な歯科検診を受けることで重症化を防ぐことができます。

当院ではうさぎの歯科診療にも対応しております。
「最近牧草を食べなくなった」
「食欲はあるけれど食べにくそうにしている」
「便が小さくなった気がする」
このようなお悩みがありましたら、ぜひお気軽に当院までご相談ください。

診察案内はこちら
当院のLINE公式アカウントから簡単に予約が可能です

pagetop
loading