症例紹介

Case

2026/7/1

整形外科

上腕骨骨折をプレート固定で整復したチワワの一例犬の上腕骨骨折

「犬が椅子から飛び降りてから前足を痛そうにしている」
「犬が片方の前足を上げたままにしている」
愛犬にこのような異常がみられたら心配ですよね。
犬が前足を痛そうにしていたり、片足に体重をかけられなくなったときには上腕骨を骨折しているかもしれません。

犬の上腕骨骨折は肩から肘までの骨のことです。
上腕骨骨折は前肢の骨折の中の30%以上を占めます。

今回は犬の上腕骨骨折について、実際に当院で整復手術を行った症例を元に解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の骨折についての知識を深めていただければ幸いです。

犬の上腕骨骨折とは

犬の上腕骨骨折について

  • 特徴
  • 原因
  • 好発犬種
  • 症状

に分けて解説いたします。

特徴

犬の上腕骨骨折は、肘関節に近い遠位部で多く発生することが特徴です。
肘関節に近い部分で骨折した場合は、骨折線が関節面まで達する関節内骨折になることがあります。
関節内骨折では、単に骨が折れているだけでなく関節面にも損傷が及んでいるため、通常の骨折よりも治療が難しくなります。

原因

犬の上腕骨骨折の原因には

  • 交通事故
  • 高所からの転落
  • 他の犬との咬傷事故
  • ドアへの挟み込み

などが挙げられます。
特に小型犬では大型犬との接触や咬傷によって骨折するケースも少なくありません。

好発犬種

上腕骨骨折はどの犬種でも発生しますが

  • チワワ
  • トイプードル
  • ポメラニアン
  • ヨークシャーテリア

などの小型犬で比較的多くみられます。
小型犬は骨が細いため、強い衝撃を受けると骨折しやすい傾向があります。

症状

犬の上腕骨骨折では

  • 足を地面につけない
  • 強い痛みを示す
  • 患部が腫れる
  • 元気や食欲が低下する

などの症状がみられます。
犬が高いところから落ちたり、他の犬と喧嘩をした後などにこのような症状がみられたら骨折が疑われます。
なるべく早く動物病院を受診しましょう。

犬の上腕骨骨折の種類

犬の上腕骨骨折は骨折した場所によっていくつかの種類に分類されます。

骨幹骨折

骨幹骨折は骨の中央部分である骨幹部が折れる骨折です。
交通事故や咬傷事故など強い外力によって発生することが多く、プレート固定などの外科治療が選択されることが一般的です。

成長板骨折

成長板骨折は成長期の子犬にみられる骨折です。
犬の成長板骨折では骨の成長に関わる成長板という部分が損傷を受けます。
犬の成長板骨折は適切な治療を行わないと骨の成長異常が起こる可能性があります。

上腕骨顆上骨折

上腕骨顆上骨折は犬の肘関節の真上で起こる骨折です。
上腕骨顆上骨折は肘の関節面に影響するため、より正確な整復が求められます。
骨折の状態によっては犬の関節機能に後遺症が残ることもあります。

犬の上腕骨骨折の治療

犬の上腕骨骨折の治療法は、骨折の部位や骨折の程度などによって異なります。

保存療法

保存療法とは手術を行わずに治療する方法です。
しかし上腕骨は包帯やギプスによる固定が難しい部位であるため、保存療法が選択されることはあまり多くありません。
保存療法は骨折のズレが少ない場合などに限定して検討されます。

骨プレート

骨プレートを使った骨折の手術では金属製のプレートとスクリューを用いて骨を強固に固定します。
犬の上腕骨骨折では骨プレートによる骨折の整復が最も一般的です。
骨プレートによる固定は安定性が高く、早期の骨癒合が期待できます。

髄内ピン

髄内ピンによる骨折の整復は、骨の内部に金属製のピンを挿入して固定する方法です。
髄内ピンは単独で使用されることもありますが、骨折の状態によっては他の固定法と併用されることもあります。

創外固定器

創外固定器による骨折の整復は、骨の外側に金属フレームを設置して固定する方法です
創外固定器は開放骨折や感染リスクが高い症例で選択されることがあります。

実際の症例

今回ご紹介するのは上腕骨遠位骨幹骨折を発症した7歳のチワワの症例です。
このチワワは他の犬に噛まれた後から前足を挙上しているとのことで来院しました。
検査の結果、上腕骨遠位骨幹部の骨折が確認されました。
これは治療前のレントゲン画像です。

治療前の上腕骨骨折のレントゲン画像

骨折部には明らかなズレが認められたため、外科手術による整復を実施しました。
手術では骨プレートを用いて骨折部を固定しました。
骨プレートによる固定は骨折部位を強固に安定化できるため、上腕骨骨折では非常に有効な治療法です。
術後は安静管理と定期的なレントゲン検査を行いながら経過を観察しました。

これは術後1週間のレントゲン画像です。

術後1週間の上腕骨骨折のレントゲン画像

骨折部位を跨いだ骨プレートによって、上腕骨がまっすぐに固定されていることがわかります。

これは術後1ヶ月のレントゲン画像です。

術後1ヶ月の上腕骨骨折のレントゲン画像
徐々に骨折部位に新しい骨が作られて、骨の癒合が進んでることがわかります。

これは術後5ヶ月のレントゲン画像です。

術後5ヶ月の上腕骨骨折のレントゲン画像
骨癒合がさらに進んで綺麗に修復され、骨折線はわからないほどになっています。
この症例は経過が良好のためこの時点で治療終了となり、現在は元気に歩行できるようになっています。

まとめ

いかがでしたか。
犬の上腕骨骨折は転落事故や咬傷事故など、犬が大きな衝撃を受けたことによって発生する整形外科疾患です。
犬の上腕骨骨折は強い痛みを伴い、多くの場合は外科手術による治療が必要です。
犬の上腕骨骨折は治療開始が遅れるほど治療が難しくなったり後遺症が残ることがあります。

愛犬が突然足を着けなくなったり、強い痛みを示したりしている場合は早目に動物病院を受診してください。
当院では外科診療に力を入れており、犬の骨折にも豊富な経験と実績があります。
愛犬の骨折や歩行異常でお困りの際は、ぜひ当院までご相談ください。

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