症例紹介

Case

2026/2/18

整形外科

チワワの関節リウマチの一例犬の関節リウマチにサポーターは有効?

犬が突然足を引きずったり、関節が腫れて痛そうにしているのを見たことがある飼い主様は多いのではないでしょうか?
犬の関節疾患といえば加齢による変形性関節症を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は「関節リウマチ」という免疫疾患が原因のこともあります。
関節リウマチは進行すると関節の痛みや変形から歩行困難などがみられ、日常生活の質が大きく低下してしまいます。
一方で、早期診断と適切な治療、そしてサポーターなどの補助具を上手に活用することで、痛みを軽減しながら生活を送れるケースも少なくありません。

本記事では、犬の関節リウマチの知識をわかりやすく解説するとともに、実際の症例をもとにサポーターの活用方法や治療の流れを紹介します。
犬の関節の違和感や歩き方の変化が気になる飼い主様はぜひ最後までお読みください。

犬の関節リウマチとは?

関節リウマチは、免疫系の異常によって自分自身の関節組織を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
本来、免疫系は体を外敵から守る重要な役割を担っています。
しかし、免疫が誤作動を起こし、自分の体の一部を「敵」と認識して攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。
犬の関節リウマチでは関節を包む滑膜という組織に炎症が起こり、進行すると関節軟骨や骨が破壊されていきます。
関節リウマチは通常左右対称に複数の関節に症状が出ます。
特に前肢の手根関節(人間でいう手首にあたる部分)や足根関節(足首にあたる部分)に多いですね。
犬の関節リウマチは若齢から中高齢まで幅広く、小型犬に多い傾向があります。
特に

  • トイ・プードル
  • チワワ
  • ミニチュア・ダックスフンド

などの犬種で報告が多いですが、どの犬種でも発症する可能性があります。

関節リウマチの診断には身体検査に加え、

  • レントゲン検査
  • 血液検査
  • 関節液検査

などの総合的な判断が必要です。

関節リウマチでは複数関節の異常や左右対称の変化が診断のヒントになります。
関節リウマチは進行性の疾患であり、早期発見・早期治療が非常に重要です。

関節リウマチの症状と見逃しやすいサイン

犬の関節リウマチは初期症状が分かりにくく、気づいた時には進行しているケースも少なくありません。
関節リウマチの代表的な症状は関節の腫れ、触ると嫌がるといった痛みのサインです。
しかし実際には

  • 歩く距離が短くなる
  • 散歩を嫌がる
  • 朝の動き出しが悪い

など、日常の小さな変化として現れることもあります。
関節リウマチは進行すると関節の変形や脱臼が生じることがあります。
これは関節を支える靭帯や骨が破壊されるため、正常な関節を維持できなくなるためです。
この段階になると痛みだけでなく機能障害が顕著になり、日常生活への影響が大きくなります。

飼い主様ができることは、普段の歩き方や姿勢の変化をよく観察することです。
犬の歩き方や普段の様子に
「なんとなく違和感がある」
という段階で受診することで、関節リウマチの早期診断につながる可能性が高まります。

犬の関節リウマチの治療と生活管理の基本

関節リウマチの治療の中心は免疫の過剰反応を抑えることです。
ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制剤が用いられることが多く、炎症を抑えながら関節破壊の進行を遅らせます。
免疫抑制剤は症状や副作用を見ながら投薬量を調整し、長期的な管理が必要となります。

また、体重管理や滑りにくい床材の使用などの生活環境の整備も重要です。
さらに、関節の不安定性が強い場合にはサポーターなどの装具を併用することで、痛みの軽減と関節保護が期待できます。

リハビリや物理療法も有効な場合があり、犬の状態に応じて組み合わせることが望ましいです。
関節リウマチは薬だけでなく、日常生活のトータルケアが重要な疾患です。

犬の関節リウマチとサポーターの役割

関節リウマチでは関節の不安定性が強くなるため、サポーターを使うこともあります。
特に手根関節など体重を支える部位では、サポーターなどの装具により関節の位置を安定させ、痛みを軽減できるケースがあります。

動物用サポーターは既製品だけでなくオーダーメイドも可能です。
既製品は比較的手軽で導入しやすい一方、関節の変形が強い場合や特殊な形状の場合にはオーダーメイドが適しています。
オーダー品は費用が高くなる傾向がありますが、フィット感が高く歩行の安定性が向上するのが大きなメリットです。

サポーターはあくまで補助的な役割ですが、薬物療法と組み合わせることで生活の質を大きく改善できる可能性があります。
装着時には皮膚トラブルの有無やサイズの確認を定期的に行うことが重要です。

実際の症例

ここで実際の犬の関節リウマチの症例をご紹介します。
7歳の未避妊雌のチワワが右前肢を挙げていて、関節が変形しているという主訴で来院しました。
触診・視診では両前肢の手根部に変形が認められ、慢性的な関節疾患が疑われました。
次の写真が実際の診察時の様子です。

犬の変形した手根関節

犬の変形した手根関節

両前肢の手根関節の変形が見られるのが分かります。
レントゲン検査では右前肢の手根関節脱臼を確認し、臨床所見と合わせて関節リウマチが強く疑われました。

関節リウマチのレントゲン画像

この症例ではステロイドと免疫抑制剤であるシクロスポリンの内服を開始すると同時に、関節の安定性を高める目的でサポーターを装着しました。
次の写真が実際にサポーターを装着している様子です。

サポーターをつけている犬

投薬とサポーター導入後は徐々に歩行が安定し、現在は落ち着いて歩ける状態を維持しています。
この症例では薬物療法だけでなく、サポーターが日常生活の改善に大きく貢献しました。
関節が変形している症例では、早期にサポーターを検討することが有効であると考えられます。

まとめ

関節リウマチは進行性の疾患ですが、早期診断と適切な治療により症状のコントロールが可能です。
特に関節の不安定性が強い場合には、サポーターが歩行の安定と痛み軽減に大きく役立ちます。
サポーターには既製品とオーダーメイドの選択肢があり、犬の状態に合わせた調整が重要です。
犬の関節リウマチは薬物療法だけでなく、生活管理やサポーターの併用を行うことで、日常生活を快適に過ごせる可能性があります。
犬の歩き方の変化や関節の変形に気付いたら、早めに当院までご相談ください。

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