症例紹介

Case

2026/2/1

エキゾチックアニマル

デグーの不正咬合の一例当院で歯科処置を行った症例

デグーに多い病気と聞いて思い浮かべる病気は何ですか?
実は、家庭で愛玩動物として飼われているデグーにとって、最も身近な疾患は不正咬合です。
不正咬合とは、歯の咬み合わせが悪くなってしまった状態のことを指します。
不正咬合は、「歯の咬み合わせが悪いくらい大したことないのでは?」と思われがちです。
しかし、デグーのような小さな生き物では、不正咬合も命取りになることがあります。

今回はデグーの不正咬合について、当院で治療した症例をふまえて詳しく解説します。
デグーの飼い主様はぜひ最後まで読んでいただき、大切なペットの健康管理に生かしましょう。

デグーの歯の特徴

デグーの歯は、手前に見える鋭く大きな4本の切歯と、口の奥にある小さな臼(うす)のような見た目の16本の臼歯の計20本からなります。

デグーの歯は、この20本の歯の全てが生涯伸び続ける常生歯です。
野生のデグーは硬い木の実や木の枝をかじるので、自然に歯が削れます。
しかし、家庭で飼われているデグーでは自然に歯が削れません。
そのため歯が無秩序に伸び続けてしまい不正咬合になってしまいます。

不正咬合とは

不正咬合とは、冒頭でお話しした通り、これらの歯の咬み合わせが悪くなってしまった状態を指します。

デグーの診察で最も多い疾患のひとつで、飼育下のデグーでは約60%で不正咬合になると言われていてます。
そのなかでも特に2歳以上のデグーでは75.8%の有病率です。
不正咬合の症例の中で、40%以上が臼歯の不正咬合であると言われており、切歯の不正咬合より圧倒的な割合を占めています。

臼歯の不正咬合は歯質の異常が原因であることが多いです。
歯質異常があると、歯は劣化や失活により脆くなり崩れてしまいます。
デグーの下顎の臼歯は、口先の方向に湾曲して伸びていくという特徴があり、舌を傷つける原因になります。

切歯の不正咬合は、ケージのかじり癖や折れてしまう事故などの原因が多いです。
通常、上下どちらかの歯が伸びてしまい、それにより反対の歯が短くなります。

不正咬合を放置するとどうなるの?

不正咬合では、

  • 偏食になる
  • 餌を口からこぼす
  • 口を痛がる
  • 多量のよだれが出る

などの症状が出ます。
不正咬合により口がうまく閉じられなくなったり痛みが出たりすると、大量のよだれが出るようになります。
この状態が長く続き毛づくろいができなくなると、被毛につやがなくなったり、皮膚炎を起こすことも多いです。
不正咬合により歯が脆くなって歯根部に細菌感染が生じると歯肉炎になることもあります。
歯が均一に削られず一部がとがってしまうと、とがった部分が頬の粘膜や舌を傷つけ、口内炎ができてしまいます。
不正咬合が重度になると痛みにより食事をとることができなくなり、徐々に痩せ細り、最悪の場合は亡くなってしまうこともあるので注意が必要です。

不正咬合の治療

不正咬合の治療は、全身麻酔で歯を削ることです。

不正咬合が自然に治癒することはほとんどありません。
切歯のみの処置であれば無麻酔で行えることもありますが、デグーの不正咬合の治療は基本的には全身麻酔をかけて行います。
歯の処置自体は痛みはないことが多いですが、デグーが暴れてしまうと、処置により口腔内を傷つけてしまう恐れがあります。
麻酔をかけることで、デグーも恐怖感なく安全に処置を行うことが可能です。

不正咬合の処置では、伸びすぎた切歯はその部分を切断し、口をきちんと閉じることができるよう調整し変形した臼歯は尖った部分を切削して角を整えます。
歯肉炎により歯がぐらぐらしていたり、歯の根元に膿瘍ができている場合は、必要に応じて抜歯が必要になることもあります。

適切に治療を行うことができれば、麻酔から覚めるとすぐに食事をとれるようになることが多いですが、再発も非常に多いので注意が必要です。

不正咬合の予防

不正咬合の予防は、ペレットのような柔らかいフードだけではなく、繊維質の多い食事が不可欠で、適度に牧草を与えることが重要です。
リンが多く含まれる食事では、歯の性質が悪くなることが研究によってわかっています。
歯の劣化を防ぐためにリンやカルシウムのバランスを考えた食事を与えましょう。

当院で治療した症例

それでは、今回当院で治療を行った症例についてご紹介します。

年齢は不明ですが、おうちに来て2年半が経ったメスのデグーです。
歯が伸びていてご飯を食べづらそうにしているとの主訴で当院に来院されました。
写真を見ていただくと、一目見て切歯の不正咬合が分かりますね。

デグーの処置前の画像

下顎の切歯が伸びすぎていることで、上顎の切歯が短くなっています。
麻酔をかけて臼歯も確認したところ、臼歯にも変形が確認されました。
そこで、切歯を適切な長さに切断し、臼歯の尖った部分を切削する処置を行いました。

処置後のデグーの画像

治療後は食事量も元に戻り、よく食べるようになったことで体重も増加したとのことです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は当院で診断治療した症例をふまえて、デグーの不正咬合について解説しました。
動物病院に来られるデグーでは不正咬合のご相談が非常に多いです。
不正咬合は、デグーの飼い主様にとって身近な疾患でありながら、異常に気づかずに放置されると命に関わることがあるので恐ろしいですよね。

当院では、デグーの歯科処置も含めてエキゾチックアニマルの治療についても力を入れています。
デグーの食事や歯の状態について不安のある方はぜひ当院までご相談下さい。

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