2026/1/24
エキゾチックアニマル
皮下膿瘍を手術で摘出したうさぎの一例うさぎの皮膚のしこり
うさぎの体を撫でているときに、しこりのようなものが気になったことはありませんか?
うさぎの皮膚にできるしこりの原因はいくつかあり、腫瘍や皮下膿瘍が比較的多くみられます。
今回はうさぎの皮下膿瘍について実際の症例を紹介しながら解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、うさぎのしこりを見つけたときの対応を学んでいただければ幸いです。
うさぎの皮下膿瘍
皮下膿瘍とは皮膚の下に膿が溜まった袋状の病変のことです。
うさぎの膿はチーズ状で非常に粘度が高いという特徴があります。
そのため人間の皮膚にできる膿のように自然に破裂して治ることはほとんどありません。
うさぎの皮下膿瘍の原因
うさぎの皮下膿瘍の原因には
- 小さな外傷
- 歯科疾患からの感染
- 咬傷や圧迫
などがあります。
このような傷や病巣からの細菌感染に反応して膿瘍が形成されます。
実際には原因不明のことも多く、きっかけもなくある日突然飼い主様がうさぎの皮下膿瘍に気がつくということがよくありますね。
うさぎの皮下膿瘍ができやすい部位
うさぎの皮下膿瘍は頭部や顔面にかけてできることが多いです。
うさぎの頭部や顔面にできる皮下膿瘍は歯科疾患が関連している可能性が高いです。
頭部や顔面以外にも胸やお腹など皮膚のある場所であればどこにでもできる可能性があります。
うさぎの皮下膿瘍の症状
うさぎの皮下膿瘍の症状には
- 皮下のしこり
- 皮膚の発赤や脱毛
- 元気や食欲の低下
などがあります。
特に歯科疾患が原因で顔まわりにできた皮下膿瘍では食欲の低下がみられやすいです。
皮下膿瘍が小さい初期には痛みや全身症状が目立たないこともあります。
うさぎの体は柔らかい皮膚と被毛に覆われていて皮下膿瘍が大きくなるまで気づかれにくいです。
うさぎとの日頃からのスキンシップは皮下膿瘍の早期発見のためにも大切ですね。
うさぎの皮下膿瘍の治療
うさぎの皮下膿瘍の治療法には
- 基礎疾患の治療
- 外科的摘出
- 洗浄
- 抗生物質の内服
などがあります。
それぞれについて詳しく解説します。
基礎疾患の治療
うさぎの皮下膿瘍はまず基礎疾患を調べてその治療をすることが重要です。
なぜなら膿瘍を取り除いても原因となる疾患が残っているとすぐに再発してしまうからです。
例えば歯科疾患が原因の皮下膿瘍は、歯の炎症が周辺に拡がって皮下膿瘍を形成しています。
歯科疾患の治療をせずに皮下膿瘍の治療だけをしてもすぐに再発してしまうため、まずは歯科疾患の治療を行います。
外科的摘出
うさぎの皮下膿瘍の治療では、膿瘍を外科的に摘出することが必要です。
皮下膿瘍を治療するには膿瘍を完全に摘出することが望ましいのですが、実際には難しいことです。
皮下膿瘍の完全な摘出が難しい理由には
- 周辺組織との境界が不明瞭である
- 神経や血管を傷つける可能性がある
などがあります。
炎症を伴って拡がる皮下膿瘍の場合、周辺組織との境界が不明瞭です。
これを無理矢理摘出しようとすると周辺組織を傷つけたり再発のリスクを高めたりする可能性があります。
顔や首には神経や血管が密集しています。
顔や首にできる皮下膿瘍では摘出するときに神経血管を傷つける可能性が高いです。
このような理由から皮下膿瘍は完全に摘出することが難しいといわれています。
洗浄
全ての膿瘍を摘出することができない場合は膿瘍が形成した穴の壊死組織を徹底的に排除したのちに洗浄しなければなりません。
実際には一度に全ての膿瘍を排除して洗浄することは困難であることがほとんどです。
皮下膿瘍の洗浄では、可能な範囲の中で最大限清浄になるように洗浄することを心がけています。
抗生物質の内服
術後は抗生物質を内服します。
これは周囲への汚染を最小限にして感染症を治癒させるためです。
皮下膿瘍の再発防止のためにも、しっかりと抗生物質を内服させることは大切です。
実際の症例
ここからは皮下膿瘍を外科手術で摘出した症例をご紹介します。
症例は2歳のホーランドロップの男の子です。
来院理由は胸の辺りにしこりがあるということでした。
実際に診察をし、飼い主様と相談した結果、そのしこりを手術で摘出することになり、病理組織検査で皮下膿瘍と診断することができました。
これは手術前に毛刈りをした後の写真です。

胸の左側にしこりがありますね。
これはしこりを摘出するために皮膚を切開している写真です。

事前にマーキングした線に沿って皮膚を切開しています。
これは術後の写真です。

手術前にぽっこりと見えていたしこりが綺麗に無くなっていることがわかります。
摘出した皮下膿瘍は以下のようなものでした。

うさぎの体格から考えるとかなり大きいです。
手術では膿瘍を完全に取り切るために傷が大きくなりましたが、写真の通りつるんと綺麗に摘出できているため再発のリスクは低いでしょう。
このうさぎの術後の経過は良好で、今では元気に過ごしています。
まとめ
いかがでしたか?
皮下膿瘍は治療が遅れると骨を溶かしてしまったり、膿瘍が大きくなって痛みを伴うことがあります。
日頃のからうさぎとのスキンシップを大切にして、異変に気がついたらなるべく早く動物病院を受診しましょう。
当院はうさぎ診療の受け入れが可能です。
外科手術の症例実績も豊富にあります。
うさぎの皮膚のしこりにお悩みの際はぜひ当院にご相談ください。