症例紹介

Case

2026/1/5

整形外科

ミディアムプードルの汎骨炎の一例当院で診断治療した症例

汎骨炎(はんこつえん)という病気の名前を聞いたことはありますか?
汎骨炎という病気は、大型犬の子犬によくみられる骨の病気のひとつです。
汎骨炎は比較的強い痛みがでるだけでなく経過が長くなることも多い病気です。

遊びたい盛りの子犬の足に痛みがあるというのは、とてもかわいそうに感じますよね。
大型犬の子犬を迎えた方や愛犬の歩き方が心配な方は特にこの記事を最後まで読んでいただき、汎骨炎という病気に対する理解を深めておきましょう。

汎骨炎とは

汎骨炎は犬の足の骨が炎症を起こす病気です。
犬の足の骨には、骨の中心部分に存在し血液を造る役割を担う骨髄と、骨を外力から守る役割を担う線維組織があります。
汎骨炎は、骨髄が線維組織と置き換わってしまうことで炎症を起こしている状態です。
汎骨炎は前足でも後ろ足でも発症することがあり、

  • 尺骨
  • 橈骨
  • 上腕骨
  • 大腿骨
  • 脛骨

この順で発症率が高いと言われています。

汎骨炎の特徴や症状について

汎骨炎は、骨の疾患の中でもいくつか特徴のある病気です。

ここからは汎骨炎の特徴についてご紹介します。

主な症状は足の痛みである

汎骨炎の主な症状は、急性に発症する足の痛みです。
汎骨炎を発症している犬は、痛みのある足を床について体重をかけることができなくなります。
足を浮かせて立ったり、歩くときにケンケンするようになるのが、足の痛みの兆候です。
汎骨炎の痛みの症状は、無治療の場合2〜3週間程度続きます。
汎骨炎による足の痛みは、他の整形疾患の中で比較的強いと言われています。
重症になると発熱や、元気食欲がなくなってしまうこともあり、積極的な治療が必要なことも多いです。

若齢の大型犬に多い

汎骨炎は、5〜12ヶ月の若い大型犬で発症することが多い病気です。
好発犬種としては、

  • ジャーマン・シェパード
  • グレート・デーン
  • ゴールデン・レトリバー

などが挙げられます。
雄犬では雌に比べて発症率が高いと言われています。
成長期が終わると、再発することはほとんどありません。

再発を繰り返す

汎骨炎の最も特徴的な点が、再発を繰り返すことです。
汎骨炎は一度発症した部分での再発は原則ありません。
しかし典型的な汎骨炎では、まだ発症していない部分に再発することがあります。
一度治療で症状が改善しても、違う部位で発症するとまた痛みが出てきます。
汎骨炎は、次々に移り変わるように痛みの部位が変わる点がとても特徴的です。
同じ足、同じ骨の違う部位で発症することもあるので、「治療がうまくいってないのでは?」と感じられる飼い主様も多いですね。

汎骨炎の治療法と予後

汎骨炎では、痛みの症状に対する治療が主な治療方法です。
痛みを改善するための消炎鎮痛剤を使用することで比較的早く歩き方の異常は改善します。
組織的に骨髄と線維組織が置き換わってしまった状態は、60〜90日で自然治癒すると言われています。
痛みの症状は比較的早く改善しますが、汎骨炎の経過自体は数ヶ月継続することも少なくないので、注意が必要です。
汎骨炎の予後は非常に良好です。
成長期を終えると再発もなくなり、汎骨炎の発症した足の機能は完全に回復します。

実際の症例

それでは、当院で診断治療した症例についてご紹介します。

今回の症例は犬のミディアムプードルで、生後11ヶ月の去勢手術を実施していない男の子です。
「左後ろ足の歩き方がおかしい」との主訴で当院を受診されました。
当院で触診を行ったところ、左後ろ足の脛の部分の骨である脛骨の膝に近い部分に痛みの反応が強くありました。
左後肢の痛みが、歩き方の異常の原因であったと考えられます。
そこで、より詳しい診断のためにレントゲン検査を実施しました。
レントゲン検査は、骨の内部まで詳しく観察することができるため、骨の異常を疑う場合には最も効果的な検査です。
今回撮影したレントゲン写真をご覧ください。

痛みの反応のあった左後肢の脛骨の中央部分が、正常な右後肢に比べて白くなっているのが分かりますね。
このレントゲン画像と症例の年齢などの情報から、汎骨炎が強く疑われました。
汎骨炎の治療として、消炎鎮痛剤と抗生剤を処方すると1週間で歩き方の異常は改善し、痛みの反応もなくなりました。

汎骨炎のレントゲン画像
汎骨炎は再発することが多いので、現在ご家族とともに見守っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

汎骨炎は若齢の犬で発症する病気のため、大型犬を飼い始めたばかりの飼い主様にとって比較的身近な疾患です。
若くてはしゃぎたい盛りの愛犬が足に痛みを抱えていると心配ですよね。
さらに汎骨炎は、痛みのあった足の症状が改善しても、「数週間後には別の足が痛い…」と痛みの症状が移動するように感じられるため、ご家族としてはそばにいて辛いと感じられることが多いです。

当院では、犬の痛みやご家族の感じられる不安にしっかり寄り添い、ご家庭によって最適な治療方法をご提案しております。
愛犬の歩き方に不安がある方や病気の治療について詳しく知りたいという方はぜひ当院までご相談ください。

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