症例紹介

Case

2025/10/28

皮膚/耳科

トイプードルの急性湿性皮膚炎の一例夏に気を付けたい急性湿性皮膚炎

夏は、高温多湿による犬の皮膚トラブルがよく起きる時期です。
「最近、皮膚を痒そうにしている」
「毛が抜けて赤くなっている」
「気づくと体を舐めてばかりいる」
そんな愛犬の様子にお悩みではないでしょうか?
実はそれは、「急性湿性皮膚炎」が起きているサインかもしれません。

今回は、実際に当院に来院された症例とともに、急性湿性皮膚炎について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、急性湿性皮膚炎について理解を深めましょう。

急性湿性皮膚炎とは

急性湿性皮膚炎とは、犬が舐めたり噛んだりすることで皮膚が傷つき、細菌感染を起こして短期間のうちに進行する皮膚炎です。
通称「ホットスポット」と呼ばれ、どの犬種にもよく見られる病気です。
突然皮膚が赤くただれ、強いかゆみを引き起こすため、飼い主様が驚いて来院されるケースも少なくありません。

急性湿性皮膚炎の原因

急性湿性皮膚炎は、さまざまな原因が重なって起こります。
主な原因としては、

  • ノミやダニなどの寄生虫
  • アレルギー性皮膚炎
  • 不適切なスキンケア
  • 高温多湿の環境
  • ストレス

といったものが挙げられます。
急性湿性皮膚炎の治療を適切に行うには、しっかりと原因を探ることが大切です。

急性湿性皮膚炎の診断

急性湿性皮膚炎の診断で最初に行われるのは、問診と視診が一般的です。
問診では、皮膚炎が起きるきっかけとなった原因を見つけることが重要ですので、愛犬の様子を詳しく伝えましょう。
また、視診のときは皮膚を見てもらうだけではなく、ノミやダニが寄生していないかもチェックしてもらいましょう。
問診や視診に加えて、必要に応じて細胞診や細菌培養検査を行い、皮膚で感染が起きているかどうかを調べることもあります。
場合によっては、アレルギーや内臓の病気がないか血液検査などを行うこともあります。

急性湿性皮膚炎の治療

ここまでお伝えしたように、急性湿性皮膚炎はさまざまな原因によって、強いかゆみと細菌感染が引き起こされる病気です。
そのため、かゆみを抑える消炎治療と細菌感染を抑える治療が並行して行われます。

具体的には以下のような治療が行われます。

  • 患部の清潔化
  • 抗生剤の使用
  • 消炎剤の投与
  • 患部の保護

それぞれを詳しく見ていきましょう。

患部の清潔化

患部を清潔に保つためには、毛を短くカットし、消毒液で皮膚を消毒することが一般的です。
塗り薬などの外用薬が使われることもあります。

抗生剤の使用

急性湿性皮膚炎は細菌感染を起こしているため、治療には抗生剤が使われることが一般的です。
抗生剤は飲み薬や塗り薬で使われることが多いです。

消炎剤の投与

急性湿性皮膚炎は強い炎症とかゆみを起こしているため、治療には消炎剤が使われることが一般的です。
主にステロイドやアレルギーの薬で、炎症やかゆみを抑えます。

患部の保護

患部を保護するには、エリザベスカラーやエリザベスウエアを使用し、犬が再び患部を舐めないようにします。
患部に包帯を巻いて保護する場合もあります。

実際の症例

ここからは当院で治療を行った実際の症例を紹介していきます。

2歳の避妊済みのトイプードルです。
「前手の内側が赤くなってしきりに舐めている」
ということで来院されました。
こちらが初診時の患部の写真です。

急性湿性皮膚炎のトイプードルの手

来院時には患部をしきりに舐めていて、毛が濡れて皮膚が赤くなっていました。
検査を行い、その結果から急性湿性皮膚炎を疑いました。
治療として、患部周囲の毛を短くカットし、その後消毒を行いました。
自宅では抗生剤とステロイドの内服、外用薬による治療を行ってもらいました。
その後、数日で赤みが軽減し、皮膚のかゆみも落ち着きました。
治療の途中からはステロイドからアレルギーの薬に変更し、その後は副作用なく経過を観察中です。

まとめ

急性湿性皮膚炎は、短期間で急激に悪化する皮膚疾患です。
特に高温多湿の夏は発症リスクが高く、放置すると炎症や感染が広がってしまうこともあります。
もし愛犬の皮膚が急に赤くなったり、しきりに舐めてたりする場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

当院は皮膚科の症例数が多く、経験豊富な獣医師が皮膚科の診療にあたっています。
愛犬の皮膚トラブルにお困りの際はいつでもご相談ください。

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