症例紹介

Case

2025/8/28

皮膚/耳科

子犬のミミダニによる外耳炎の一例犬のミミダニについて

愛犬が耳をしきりに掻いたり、頭を振ったりしていませんか?
黒っぽい耳垢が見られる場合、ミミダニによる外耳炎かもしれません。
ミミダニは放置すると、中耳炎などへ進行することもあるため注意が必要です。

今回は犬のミミダニについて、実際の症例を紹介しながら解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、ミミダニに感染した際の対処法を学んでいただければ幸いです。

ミミダニとは

ミミダニは耳の中に寄生するダニの一種で、正式にはミミヒゼンダニや耳疥癬(みみかいせん)と呼ばれます。
ミミダニは外耳道に寄生・増殖することで炎症が起こり、外耳炎を引き起こします。
感染力が非常に強く、ほかの動物にも容易にうつるため注意が必要です。
以下のような場合、ミミダニの感染が多く見られます。

  • 子犬
  • 多頭飼いの家庭
  • ペットホテルなど不特定多数の動物が出入りする場所

​​中でも子犬は免疫力が弱く、ミミダニに感染すると症状が強く出やすい傾向にあります。
また、ブリーダーなど集団で飼育されていた子犬で感染していることが多く、特にお家に迎えたばかりの時期は注意が必要です。

犬のミミダニの症状

ミミダニによる外耳炎では強いかゆみが生じるため、次のような症状がよく見られます。

  • 茶褐色〜黒色の耳垢が大量に出る
  • 後ろ足で頻繁に耳を掻く
  • 頭をしきりに振る
  • 耳を触ると嫌がったり怒ったりする

外耳炎が進行してかゆみがさらに悪化すると、耳血腫になることがあります。
耳血腫とは、耳を強く掻いたり頭を激しく振ったりすることで耳の血管が破れ、耳介内に血液がたまってしまう状態ですね。

ミミダニの診断

ミミダニの診断は耳垢を採取し、顕微鏡で観察することで行います。
耳垢の中にミミヒゼンダニの成虫や卵が確認できれば、ミミダニと診断されます。
また、耳鏡を使って耳の中を観察し、動いているミミダニを直接観察することでも診断可能です。

ミミダニの治療

ミミダニの治療では主に、耳の洗浄と駆虫薬の投与が行われます。
同居している犬や猫がいる場合には、すでに感染している可能性があるため、同居動物にも同様の治療が実施されます。
なお、ごくまれではありますが、犬のミミダニが人に感染することもあります。
人に感染した場合、皮膚にかゆみや炎症が生じることがあります。
その際は皮膚科を受診しましょう。

耳の洗浄

耳の洗浄は

  • 耳垢
  • ミミダニ
  • ミミダニの卵や死骸

などを物理的に取り除くために行われます。
ただし、耳の汚れが気になるからといって、自宅で綿棒を使って掃除をするのは避けましょう。
綿棒を使うと耳垢を奥に押し込んでしまったり、炎症を悪化させたりするおそれがあります。
特に子犬の場合は耳垢が多く出るため、早めに動物病院を受診し対処してあげましょう。

駆虫薬の投与

耳を洗浄した後は、駆虫薬を投与してミミダニを駆除する必要があります。
駆虫薬は主に、背中に垂らすタイプの滴下剤(スポットオン)が使用されます。
駆虫後も1カ月ほどは、定期的に耳の洗浄を続けることが望ましいです。
また、ミミダニは再発しやすいため、2〜3週間後に耳の状態を再度チェックし、ミミダニがいないことを確認しましょう。

子犬のミミダニの実際の症例

ここからは、当院で治療を行った実際の症例を紹介していきます。
今回ご紹介する症例は、3カ月齢のビションフリーゼの女の子です。
「耳が汚れていて頭をよく振る」「耳の後ろを頻繁に掻く」といった症状で当院を受診されました。
こちらが初診時の耳の写真です。

ミミダニ症の初診時の写真

耳の毛は茶色っぽく変色しており、少し赤みも見られます。
耳鏡で耳の中を見てみると、茶褐色の耳垢がたくさん観察されました。

茶褐色の耳垢

耳垢を採取し、顕微鏡で検査を行ったときの写真がこちらです。

ミミダニの顕微鏡検査画像

中央に写っているのがミミダニです。
ミミダニによる外耳炎と診断し、耳の洗浄と駆虫薬(セラメクチン)の投与を行いました。
細菌感染と耳の赤み(紅斑)も見られたため、抗菌・抗炎症成分を含む点耳薬も併用しています。
自宅では点耳薬の投与のみとし、耳掃除は控えていただきました。
2週間後の再診ではミミダニは確認されず、外耳炎も解消され、良好な経過となっています。

まとめ

ミミダニは、お家に迎えたばかりの子犬によく見られる病気です。
耳をしきりに掻いたり、耳垢が多く見られたりする場合は、ミミダニの感染が疑われます。
子犬のミミダニは強いかゆみを伴うため、放っておくと生活の質(QOL)を大きく下げてしまうこともあります。
耳垢が多いとつい耳掃除をしたくなりますが、かえって症状を悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。
耳の赤みや汚れ、かゆがる様子が見られたら、早めに当院までご相談ください。
耳掃除の方法や日常的なケアについても、獣医師と相談しながら無理のない範囲で進めていきましょう。

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