症例紹介

Case

2025/5/19

皮膚/耳科

ミニチュアダックスフントの耳垢栓塞の一例当院でオトスコープを用い治療した症例

耳垢栓塞という病気をご存知ですか?
通常耳垢は自然に排出されると言われています。しかし何らかの原因で量が非常に多くなったり、間違ったやり方で耳掃除をして耳垢が詰まってしまうことがあります。
これが耳垢栓塞という病気です。

今回は犬の耳垢栓塞について、実際の症例を紹介しながら解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の耳のケアにお役立てください。

耳垢栓塞とは

耳垢栓塞は、耳垢が大量に耳の穴の中に溜まり、詰まってしまう病気です。
耳垢は、耳垢腺で分泌される成分と古くなった皮膚やゴミが混ざったものです。
通常、耳には自浄作用があり、作られた耳垢は鼓膜近くから耳の入り口へ向かって自然に排出されます。
何らかの原因で自然に排出することが難しくなると、耳の穴の中に耳垢が蓄積することとなり、栓塞に繋がります。

耳垢栓塞の原因

耳垢栓塞にはさまざまな原因があります。
一度治療しても再発の危険性がありますので、根本的な原因をしっかりと把握することが重要です。

耳の中に別の病気が隠れている場合

耳垢が自然に排出できないほど大量に作られている場合、以下のような病気が隠れている可能性があります。

  • マラセチア性外耳炎
  • 耳ダニ症
  • アトピー性皮膚炎
  • 季節性アレルギー
  • 耳の中の腫瘍

耳垢栓塞の状態を確認する際には、上記のような病気がないかも併せて確認が必要です。

耳掃除に問題がある場合

犬の耳の中には、正常でも少量の耳垢が存在します。
綿棒で掃除する際に、耳垢を奥へ押し込んでしまうと、少しずつ耳垢が固められ蓄積していきます。
目で見える範囲は綺麗になっていても、見えづらい奥の方で実は耳垢が溜まっていたというケースは実は多いものです。
自己判断での耳掃除は危ないということですね。

耳垢栓塞の症状

耳垢栓塞の症状には以下のようなものがあります。

  • 耳を掻く
  • 頭を振る
  • 耳の聞こえが悪い
  • 耳の中が臭う

耳垢が蓄積することで痒みや違和感を伴う場合には、犬のいつもと違う様子が観察されます。
一見いつもと変わらず無症状に見えても、実は耳垢が栓塞していたという場合もあります。
定期的に耳の中を確認していただくと良いでしょう。

耳垢栓塞の診断

耳の中の検査では耳鏡という器具を使い、耳垢が詰まっていないかを確認します。
耳鏡だけでは耳の奥の詳細がわからない場合には、オトスコープ(内視鏡)を使って更に詳しく検査を行います。

耳垢栓塞の治療

耳垢栓塞が確認された場合には、耳鏡やオトスコープで耳の中の様子を確認しながら、綿棒や鉗子(ピンセット)を用いて耳垢を取り除く必要があります。
洗浄液を用いて洗い流す場合もあります。
耳垢を取り除いた後に、耳の中に炎症や他の病気が見つかった場合には、それに応じた治療を行うこともあります。

当院で治療した症例紹介

今回ご紹介する症例は、6歳のミニチュアダックスフントの避妊手術済みの女の子です。

耳垢が出るとの主訴で当院に来院されました。
耳鏡にて耳の中を確認すると、耳の奥に耳垢の塊が存在しました。

耳鏡検査した時の耳垢の塊

起きている状態での耳掃除を実施しましたが、奥の耳垢が取れませんでした。
全身麻酔をかけ、オトスコープで観察したところ、耳垢の塊は鼓膜の手前に存在しました。
オトスコープからチューブと鉗子を挿入し、耳垢の牽引と耳の中の洗浄を行いました。

オトスコープによる処置の後の画像

全ての耳垢を取ることができ、処置終了後は綺麗に鼓膜を確認できるようになりました。

まとめ

耳垢栓塞は飼い主様も気付かないうちに起きていることが多いものです。
愛犬が耳を痒がっていないか、耳の中の様子はどうか、日頃から気にかけていただくと良いですね。

当院では定期的な耳掃除も行っております。
治療が必要となった際には、一般的な耳鏡だけでなくオトスコープも活用しております。

犬の耳に異変を感じたり、耳の痒みがなかなか治らないなどとお悩みの方は当院までご相談ください。

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