症例紹介

Case

2024/3/28

腫瘍科

犬の皮脂腺腫の一例犬の良性腫瘍を切除した実際の症例を解説

犬の体表には様々な腫瘍ができ、皮脂腺腫もその腫瘍の1つです。
皮脂腺腫は日本国内の犬の体表腫瘍の中の約8%を占めており、腫瘍の中では比較的多いとされています。
皮膚にできる腫瘍は良性、悪性様々で、治療方法もその腫瘍によって変わってきますので、しっかりとした検査が必要です。

本日は唇にできた皮脂腺腫について、症例を交えながら解説していきます。

体表にしこりができた時

皆様は愛犬の体表にしこりができたときどうしますか?
様子を見ますか?
すぐに病院に行って先生に相談するでしょうか?
今回は体表にしこりができた時、病院で何をしていくかをお話しいたします。

しこりの診察では飼い主様のお話もとても大事で

  • しこりが大きくなったスピード
  • 気にしているか
  • 痛みがあるか
  • 触ると腫れたり、赤くなったりするか

なども大きな治療方針の判断材料になります。
そして、犬のプロフィールやしこりの大きさ、位置、硬さ、可動性はどうかを見ていきます。同時に近くの体表リンパ節が転移によって腫れていないかも確認します。
しかし、見た目や飼い主様のお話、触るだけでしこりの種類や治療法が明確に分かることは基本的には無いため、しこりの種類を見ていく検査をしていきます。
種類を見る方法としては針を用いた針生検、組織を一部採る組織生検、しこりを切除する切除生検があります。

  • 針生検は、体表のしこりやリンパ節では最も用いられる生検方法で、しこりの細胞を採ることが出来ます。最大のメリットは鎮静薬や麻酔を必要としないことで、犬の負担が軽いと言われています。組織の構造は分からないため、確定診断に至らないこともあります。
  • 組織生検はしこりの組織を一部ブロック状に採ってくる方法で、組織生検用の器具が必要です。
    別の方法ではしこりを円柱状にくり抜く方法や、メスを用いてくさび形に組織を採る方法があり、そのしこりの大きさや深さなどにより、どの方法がいいかを選択していきます。
  • 切除生検はしこりが非常に小さく針が刺せない場合や、しこり周囲に十分な余裕を持って切除できることが予測される時、切除が治療に繋がる時に選択されます。

組織生検は局所麻酔や鎮静、全身麻酔が必要ですので、慎重に行われる必要があります。

皮脂腺腫とは

犬では一般的に見られる良性の腫瘍で、皮脂腺という脂を出す腺構造が腫瘍化することで起こります。
8~13歳と比較的高齢になって発症し、単独または複数の腫瘤を形成します。
好発犬種はイングリッシュコッカースパニエルやダックスフント、プードル、シーズーなどが挙げられ、日本での人気犬種が多数入っていることから、日常の診察でも相談されることが比較的多いです。
性差はないとされ、犬では頭部での発生が多く、瞼にできた場合はマイボーム腺腫と言われます。
症状は皮膚のしこり以外見られないことも多いですが、気になり擦ってしまう場合や床などと擦れて炎症を起こすこともあるため注意が必要です。

診断・治療

皮脂腺にできる腫瘍は皮脂腺腫、皮脂腺上皮腫、皮脂腺癌の順に悪性度が上がり、しっかりとした検査が必要です。
ある程度の大きさがある場合は、針生検を実施しますが、針生検では確定診断ができないため、正確な診断には切除が必要です。
では、なぜわざわざ針生検をするのでしょうか?
針生検は、このしこりがそもそも炎症性なのか腫瘍性なのかを見極め(つまり炎症であればそもそも摘出手術は必要無い場合も出てきます)、腫瘍性であれば腫瘍のタイプや、良性そうなのか悪性なのかを、可能性が高い順にリストアップすることが目的となります。
針生検の結果から獣医師はしこりを取り残さないために、どう摘出するべきなのか、また転移しやすい臓器の確認などを行なっていきます。
皮脂腺腫は良性腫瘍のため、転移は稀ですが、局所再発することも多いため、十分な切除範囲を保って摘出することが一番の治療となります。

実際の症例

当院で実際に治療を行った症例をご紹介します。
症例は11歳のトイプードルの避妊雌で唇にイボのようなものが出来たとご来院されました。

しこりの出来た場所や大きさから、針生検の実施は難しいと考え、飼い主様とご相談し、麻酔下での切除生検を選択しました。

この症例では摘出した腫瘍の病理検査結果から、皮脂腺腫と診断され、腫瘍細胞の取り残しも無く、抜糸後の傷も問題ないことから、経過観察となりました。

まとめ

今回の症例はかなり小さいしこりでしたが、飼い主様のご理解を得られ摘出手術を行い、しっかりと診断することが出来ました。
小さいイボのようなしこりでも放っておくと、だんだんと大きくなり、しこりの摘出手術の難易度も格段に上がり、症例にも負担になってしまうこともあります。
犬は毛に覆われていることが多く、見た目の異常に気づきにくいこともありますが、日常のスキンシップを大切にしていただき、違和感やいつもと違うことがあればすぐにご相談ください。

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